電王戦リベンジで破れたツツカナ…第3回での対局はどうなる?

ニコニコ本社(原宿)1階のスタジオでは解説会も

ニコニコ本社(原宿)1階のスタジオでは解説会が行われた。前局と同じく、マンガ『ハチワンダイバー』でおなじみの鈴木大介八段と、藤田綾女流初段のコンビだ

 2013年の大晦日に行われた『電王戦リベンジマッチ』(観戦記 http://nikkan-spa.jp/573919)。興業として見れば、3ヶ月後に控えた『第3回 将棋電王戦』の試金石という側面もある。今回登場したツツカナの最新版は、11月に行われた『将棋電王トーナメント』で準優勝を果たし、『第3回 将棋電王戦』第4局(対局日は4月5日)への出場が決まっている。対戦相手はベテランの森下卓九段だ。

『第3回 将棋電王戦』でのコンピュータ側は、ドワンゴ社が提供する統一ハードを用い、原則的に『将棋電王トーナメント』時の状態のものをプロ棋士側に事前に貸し出すというルールになっている。今回の結果を受けた将棋ファンの間からは、事前にプロ棋士が見つけた研究手順をそのままなぞるような勝負になってしまっては興ざめだと危惧する声も上がっている。

 確かに今回の棋譜を見る限りでは、船江五段が事前の研究でツツカナの指し手をすべて見切っていたかのように見える。しかし、局後の感想を聞く限り、さすがにそんなことはなさそうだ。もちろん事前に「△7四歩」が来ることがわかっていた分だけ、前回よりも戦いやすかったであろうことは間違いないが、それでもツツカナに勝つのは容易なことではないということは、ここまで電王戦関連の将棋を追ってきた方にはおわかりのはずだ。

 しかも『第3回 将棋電王戦』のコンピュータ側は、プログラムの改変は禁止だが、棋譜を利用した自動学習はOKとなっている模様で、今回のように作戦をほぼ100%の精度で予測することはかなり難しいと予想される。もしこの条件でも、プロ棋士と同等の力を持つコンピュータ相手に事前の研究で完璧な作戦を用意できたとしたら、それはその研究がすごいというだけであって、興ざめになることはないのではないか。もちろん、研究将棋よりも逆転また逆転の力将棋のほうが好きという好みの問題はあるだろうが。

 さらに付け加えれば、『第2回 将棋電王戦』の阿部光瑠四段もそうだったが、対コンピュータ戦で人間が勝つ場合は、最初から最後まで圧倒している(ように見える)将棋になりやすいということもある。コンピュータは(人間側から見て)明らかなミスをすることが少ないので、人間は圧勝か完敗か逆転負けしかない。つまり、人間の逆転勝ちというのは、そもそもレアケースなのだ。たとえ勝率としては五分五分だったとしても、人間が勝つときは研究通りに指して勝っているように見えやすいということは、念頭に置いておく必要があるだろう。

 人間とコンピュータの戦いをめぐる状況は、『第2回 将棋電王戦』の頃とは変わっている。昨年は「プロ棋士がはじめてコンピュータに負けるのか?」というドラマが最大の焦点だったが、コンピュータ側がその力を証明した今となっては、もうその季節は過ぎた。『第3回 将棋電王戦』は、ひと回りスケールアップして帰ってくる。この『電王戦リベンジマッチ』と同様に、今度は「さすがプロ棋士」と思えるような、人間の逆襲を見てみたいところだ。

◆将棋電王戦 HUMAN VS COMPUTER | ニコニコ動画
http://ex.nicovideo.jp/denou/

<取材・文・撮影/坂本寛>

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