人民元の上昇で「立ち食い蕎麦」が大幅値上げに!?
人民元の上昇が止まらない。対ドルでは、管理変動相場制導入以来の最高値を更新し続けている。さらにアベノミクス効果で円安が進むなか、対円ではこの1年で20%以上も上昇した。
そんななか、「年内に1元=20円もありえる」と話すのは、中国経済に詳しいエコノミストの田代尚機氏だ。
「人民元上昇は中国や諸外国の思惑と合致したものだからです。輸出産業保護のため、人民元相場をコントロールしてきた中国当局ですが、時代は変わり、中国人民銀行が人民元の変動幅を拡大していく方針を明らかにするなど、段階的な自由化を進めている。狙いは、人民元を国際基軸通貨に格上げし、国際金融システムの主導権を握ること。昨年9月に上海に設立された自由貿易試験区で、人民元の取引規制緩和や金利の自由化が行われたのもその一環です。こうした動きに欧米も歓迎している。また人民元高といっても中国の貿易収支はまだまだ黒字。赤字になる寸前までは伸びしろがあるのです」
もはや人民元は「上昇しない理由が見つからない」といっても過言ではない状況にあるのだ。そうしたなか、日本人の生活にも大きな影響が出始めている。
バブル崩壊以降の「失われた20年」で、日本は生活防衛策として安価な中国製品を大量に輸入してきた。ところが、昨年上半期の貿易統計をもとに、日本貿易振興機構(JETRO)がドル建換算した中国からの輸入額は、前年同期比10.8%の減少。上半期ベースでは、リーマン・ショックの影響で輸入総額全体が大きく低迷した’09年上半期以来、4年ぶりの減少となっている。この背景には、人民元上昇の影響も少なからずあると考えられる。
しかし、「中国製の割合が高く、国産品や第三国製に代替することが容易でないものに関しては、今後、値上げラッシュが予想されます」と指摘するのは、前出の田代氏だ。その一例が中国産シェアが8割を占めるソバ。玄蕎麦流通協は「製粉メーカーは春先には値上げに踏み切るのでは」(役員談)と述べた。さらに小売業界大手イオンも「従来と同じ取引を続ければ」と前置きした上で、「為替によって受ける影響を商品に転嫁せざるをえない場合もある」(広報担当)と答えた。4月に控える消費増税や日銀のインフレターゲットに加え、消費者にとってのさらなる負担要因となる可能性があるのだ。
週刊SPA!1/28発売号「[人民元高]で日本の庶民生活は崩壊する」では、この他にも、庶民生活を圧迫するであろう人民元高の影響をさまざまな事例を挙げて徹底的に検証。消費増税や年金保険料の引き上げなどに続いて、庶民生活を崩壊させそうな「地雷」、人民元高についてリポートしている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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