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予算2.5兆円で採算がとれない!?「宇宙太陽光発電」のムダ

宇宙太陽光発電

洋上や砂漠で発電するほうが低コストで済むという

 増税につぐ増税で、厳しさを増す一般庶民の経済状態。ところが、「それとは別腹」とばかりに、税金をもとに1兆円を超える巨大プロジェクトが行われている。

 その中でもスケールの大きさと採算性の疑問度が問題になっているのが宇宙太陽光発電(SSPS)という計画。

 地球から3万6000km。宇宙の静止軌道上に2.5km四方もの巨大な太陽光発電衛星を設置し、マイクロ波やレーザー光に変換して地上の受電設備にエネルギーを送るシステムだ。一施設で原発一基並み(100万kW)の発電ができるという。その予算は2兆~2.5兆円ともいわれている。宇宙航空研究開発機構が研究を進めているが、同機構のHPで、SSPS研究計画担当者はこう語る。

「天候や季節、昼夜に左右されないので、効率よく太陽エネルギーを集めることができます。太陽光は枯渇することがなく、宇宙空間では二酸化炭素を出しません」

 さらに、マイクロ波は地球が雨や雲で覆われていても、減衰することなく地上に到達する。SSPSの発電効率は「地上の3倍以上」と言われていて、この事業を管轄する経済産業省製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室によれば、想定事業費は「原発と同程度の発電を目指すのなら(開発費用は)2兆円は必要」とのことだ。

 現時点では、マイクロ波をいかに遠くに正確に飛ばすかなどの基礎的な伝送研究を重ねているところだが、積極的に研究を重ねているのは日本だけだという。機構は’30年代の実現を目指している。

 ところが、この壮大な事業に、専門家の間では疑問の声が挙がっている。

 米国物理学会プラズマ物理部会長を務め、日本学士院賞も受賞した長谷川晃大阪大学教授も、この事業に大きく反対している。

「この技術はもともと、アメリカで’68年に提案され、’80年頃、NASA(アメリカ航空宇宙局)とエネルギー省が発電能力500万kWの発電衛星を60個打ち上げるとぶち上げました。でも、私や米国の科学者たちは、『採算がとれない、バカバカしい』と猛反対をして、結局は中止となったんです。NASAが今もそのプロジェクトを引きずっていないかと関連の科学者に確認をとってみましたが、その関連プロジェクトは今は一切ないとのことでした」

 長谷川氏はまず経済性の問題を挙げる。

「経産省の設計では、地上での受信電力は1平方メートルあたり100Wです。ところが、地上での太陽光の電力は1平方メートルあたりその10倍の1kW。わざわざ電力密度を10分の1にして送る。それに、火力発電所や原発の建設費は3000億円前後ですね。宇宙太陽光発電はその7倍もかかります。だったら洋上や砂漠のほうが、コストからいえば安くなります」

 2/18発売の週刊SPA!「1兆円超ムダ事業ワースト3」では、この宇宙太陽光発電のさらなる問題点を指摘、また総予算2.7兆円とも言われるスーパー堤防や総予算6兆円ともいわれる圏央道、また無関係な事業に流用される復興予算など「兆超え」のムダ事業にメスを入れている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

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