イケイケ相場から一転「アベノミクス中間報告書」
―[アベノミクス中間報告書]―
年末のイケイケ相場から一転、世界同時株安に巻き込まれ、日経平均はまさかの暴落に見舞われた。持ち株はどうするべきか、今後の投資にどう臨むべきか。アベノミクス後半戦の見通しを相場の達人たちに聞いた。
◆アベノミクス中間報告書
年末に急伸したにもかかわらず、まさかの急落を見せた日本株市場。フィスコの小川佳紀氏は、現状をこう分析する。
「アルゼンチンの金融不安を契機とした世界同時株安といわれますが、実際は金融緩和縮小を決めた割にはパッとしないアメリカ経済が市場を不安に陥れています。特に日本株は年末の上昇が大きかったため、反動も大きくなりました」
一方、eワラント証券の土居雅紹氏は、「アベノミクス相場は日経平均が1万8300円まで上昇した’05~’07年の小泉相場に似ている」と指摘する。
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「小泉相場では’05年にグングン上昇し、’06年にライブドアショックなどの急落を経て、’07年にピークをつけました。アベノミクス相場も同様に、’13年前半のサルでも儲かる相場で始まり、今年は多少の波乱を経験しながら盛り返し、3年目である’15年に天井をつける可能性が高い。そう考えれば、今回の急落はシナリオ通りといえます」
◆急落は一時的な調整年末に向け相場は回復か
小川氏も2月の急落は下げが下げを呼んで行きすぎた感が強く、アベノミクスの期待が続く限りは一時的な調整で済むと予測する。
「消費増税の影響や対策が見える夏ごろまでは上値は重いでしょうが、その後は年末に向け1万8000円程度まで回復するとみています」
だったら、含み益が急減したり、まさかの含み損を抱えてしまった投資家は、このまま回復するのを待っていてもよいのだろうか。小川氏は、「銘柄によって異なる対応が必要」とアドバイスする。
「昨年のようになんでも上昇する相場は終わり、業績が厳しく問われるようになっているので、決算が悪い銘柄は評価されにくい。大型株なら同業種の中で比較して業績が良い銘柄は残し、そうでないものは早めに利益確定や損切りしておくのが安全です」
たとえば、自動車であれば絶好調のトヨタはホールド、営業減益に沈む日産は売りといった作戦だ。
一方、中小型株に関しては、未練を残すのは禁物だという。
「日経平均は’13年5月の高値を年末に突破しましたが、マザーズ指数は到達できていません。中小型株はいったん売られ始めると、悪化した需給が戻るのに時間がかかる傾向がある。多少戻しても、自律反発に終わる可能性が高いので、損益にかかわらずこのタイミングで処分するのが無難です」
ただし、ネットやゲーム関連は、業績の良しあしが鮮明なうえ、円高局面で買いが集中して値を上げることもあるので、サイバーエージェントやコロプラといった業績が良い銘柄であればこうした局面を待つ作戦もアリだという。
それでも、損切りはつらいもの。含み益が残る銘柄を利益確定し、含み損がある銘柄は戻るのを待ちたくなるのが人情だ。しかし土居氏はこれを、「一番やってはいけない投資行動」と一刀両断する。
「まさに個人投資家が陥りやすい失敗パターン。これでは含み損ばかりが膨らみ、利益が少なくなってしまいます」
⇒【次回】「国策銘柄に絞り2015年前半までに売り抜けろ」へ続く https://nikkan-spa.jp/592680
★小川佳紀氏の見解
大型株であれば、同業種のなかで業績の良いものはホールド、そうでないものは潔く処分しよう。中小型株は戻りが遅い可能性が高いので、よほど業績が良い銘柄でない限りは、損切りも
【小川佳紀氏】
フィスコ株式アナリスト。岡三証券を経て’09年にフィスコ入社。個別銘柄分析を担当し、新興市場を中心としたリサーチ力に定評。日本証券アナリスト協会検定会員
【土居雅紹氏】
eワラント証券COO。大和証券アナリスト、大蔵省財政金融研究所、ゴールドマン・サックス証券を経て現職。バブル相場での投資術に詳しい「バブルの達人」
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