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【復興進まぬ大槌町】大型復興事業に資材や人手を取られ

 東日本大震災から3年、マスコミ報道もかなり少なくなってきているが、状況はそれほど変わっていないという。

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旧大槌町役場の前には献花台が置かれていた。時計は地震が起きた時間で止まっている

 市街地の住民の約15%が犠牲となった岩手県大槌町。碇川豊町長は復興が遅れている理由を訴えた。

「『復興が進んだ』と言う人もいますが、更地に土を盛った程度でしかない。政府は特別法を作って被災地復興を加速化させないと、終の住処に移れないまま仮設住宅で亡くなる人が続出するのは確実です」

 復興の足かせになっているのは、法律(制度)の壁だけではない。防潮堤や三陸自動車道(高速道路)などの大型復興事業が集中したため、そのほかの復興事業の入札不調や辞退が急増しているのだ。大槌町の入札不調率は今年2月末時点で30.6%(72件中22件)。業者の入札辞退は68.2%にも達するという。大槌町には病院も消防署も学校も建っていない。現地駐在を続ける東野真和さん(『朝日新聞』記者)はこう話す。

「人手不足で、一人1万数千円だった工賃が2~3万円に高騰、その結果工事費も上がってしまいました。業者は利益率の高い“美味しい工事”を取ろうとするので、入札不調や辞退が増えてしまう。大型公共事業が集中すれば資材高騰や人手不足を招くということは、十分に予測できたはずですが……」

 大型事業は素早く進む一方で、「町の復興に欠かせない」と碇川町長らが政府に要請している「命の道(トンネル)」は、3年たった今でも予算がつかないまま。大槌町は真ん中が丘陵地帯で、その両脇を流れる大槌川と小槌川の合流地点(河口部)が市街地となっていた。そこが津波で被害を受けて災害危険区域となったため、2つの川のやや上流側に新市街地を造る予定だ。

 妻と娘を亡くした小松則明町議も、命のトンネルの必要性を涙ながらに訴える。

「このトンネルがないばかりに、危険な海側の平野部を通って避難しようとして亡くなった津波被害者が何人もいます。『命のトンネルの計画が決まれば、その周辺に住みたい』という人は少なくないのです」

 この計画(事業費20億円弱)が確定し、居住場所を決める人が増えていけば、街づくりの加速が期待できるのだ。

 大型事業への集中は、復興のため地元で起業したいという人々にとっても足かせとなっている。町内の人的交流拠点「おらが大槌復興食堂」の経営者だった岩間美和さんは夫婦で新店舗開店を決意。銀行から数千万円の融資内定と土地の確保をしたところで、新たな壁が立ちはだかった。

「店舗建設を引き受けてくれる業者が見つからず、探している間に建築費が倍の坪単価90万円にまで高騰してしまいました。いつ工事を始められるともわからないまま地代だけを払い続けている状況です。業者はほかにも工事がたくさんあるので、強気の見積もりを出して大幅な値引きに応じない。今後、これに東京五輪の関連事業が加わると、さらに悪化することは確実です」(岩間さん)

「復興のために起業して町を活性化したい、雇用を増やしたい」という岩間さんだが、そのハードルはあまりにも高い。

 3/11発売の週刊SPA!「3・11[進まぬ復興]現地ルポ」では、上記の大槌町以外にも、陸前高田市、気仙沼市、石巻市などの復興の現状や現地の声をリポート。進まぬ復興の理由、焦れる現地住民の声を報じている。 <取材・文/週刊SPA!編集部>

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