“男女の交渉”節電の歌舞伎町で活発に
再開発の名目で、ほとんどの映画館やテナントが閉館、目下解体作業が進められている新宿歌舞伎街の旧コマ劇場周辺は、夜になれば悲しいほど人もまばら。今や巨大な工事用の防御壁だけが鈍く光る、「ゴーストタウン」の様相を醸し出している。
しかし、このゴーストタウンが深夜、奇妙な活気に包まれているという。一体どういうことか?
歌舞伎町の在住の風俗ライターはこう語る。
「旧コマからハイジアの歌舞伎町の最深部は、ストリートガールが立つ場所ということで、好事家の間で有名でした。最近は当局による取り締まりと周辺ビルの監視強化で、その数は激減しました。しかし震災後、テナントや防犯灯の節電でこの辺りがすっかり暗くなりました。すると“仕事がしやすくなった”のか、彼女たちが再び集まり始めたんです」
午前1時過ぎ、記者もその場所に足を運ぶと、普段ゲームセンターのネオンで明るかった通りが一変、深い暗闇と化している。目を凝らすと2~3人の女のグループが数組、一定の間隔で道路に座り込んでいる。女に近づいては、何やら話し込む男、その周りを自転車で徘徊する男、それを舐めるように見ながら通りかかる男たち……総勢二十人ほどの影が蠢いているのが見える。
異様な空気に躊躇しつつ足を踏み入れると、薄明かりの中に、時折声高に笑う、女たちの顔が見えた。どの顔も幼く、10代のよう。大きなバッグやカートを持っている女もいて、さながら「家出少女」の様相だ。こんな若い女がストリートガールなのか? するとそこに座り込んでいた初老の男性と若い女が立ち上がった。さりげなく後を追うと、2人はホテル街に消えていく。それに触発されたのか、道行く男たちが積極的に女たちに声を掛けはじめた。
⇒【後編】につづく
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