NISAこそ大化け株を狙え
―[再入門![負けない投資]心理学]―
アベノミクスが一段落した途端に、含み損を抱える生活に逆戻り。そんな「負け癖」を持っていないだろうか? 勝てない投資家心理に共通する原因と対策、その逆を狙って勝つ方法を専門家に聞いた。
⇒【前回】「投資家の負け癖を徹底研究」https://nikkan-spa.jp/625060
◆「NISAで大型株」も投資家のダメな心理?
カブ知恵代表の藤井英敏氏は、「ダメ投資家の行動パターンの逆をいく投資術もアリ」と提案する。悪い見本となるのは、信用取引で失敗を重ねる投資家だ。
「ヘタな信用投資家は資金管理ができないので、相場が急落すると追証が発生し、株価に関係なく強制的に売りに追い込まれる。いわゆる『セリング・クライマックス』で、売りが売りを呼んで株価はどんどん下落します。直近では年初来安値をつけた2月5日がそれで、売りたい投資家が売り切ってしまえば株価は底を打つ。このタイミングを狙って買い出動すると勝率は非常に高くなります」
こうしたチャンスは年数回しかないが、このタイミングに絞って投資すると負けない投資が実現しやすいという。
単なる下落か、それとも絶好の投資チャンスとなるセリング・クライマックスかを判断するには、日中の値幅が前日終値から2%超、日経平均の25日移動平均線のかい離率がマイナス10%超、東証が発表する空売り比率が30%超、日経225オプションのインプライドボラティリティ(IV)が30%超、といった指標が参考になるという。あてはまる項目が多いほど大底の可能性は高く、勝率が高まるのだ。
加えて、最近特に残念な投資家が目立つと指摘するのは、今年1月から始まったNISA(少額投資非課税制度)での投資だ。NISAは年間100万円まで、株式投資での売買益や配当が5年間非課税になる制度である。
「NISA口座で人気の銘柄ランキングを見ると、武田薬品工業やキヤノンといった高配当の大型株ばかり。こんな銘柄を買ってもNISAのメリットはたいして生かせない」
こうした大型株は値動きが安定している半面、株価が倍になるような大化けは狙いにくい。NISAなら本来約20%課税される配当が非課税になるとはいえ、投資金額は年間100万円に限られているので2%の配当が出たとしても、4000円の所得税が免除されるにすぎないのだ。
「投資初心者こそ、手堅く少ない利益を得ようという心理が働きがちですが、5年後の株価が10倍、100倍を狙えるような小型株や新興株に投資すれば、狙い通りになったときのメリットは非常に大きい。100万円の株が1億円に化ければ、2000万円近い節税も可能。もちろんリスクは高いが、こうした夢のある銘柄を狙わないとNISAの意味がない」
藤井氏がNISA向きとして注目する大化け期待銘柄として、ゲノム創薬ベンチャーのメディビックグループや、宇宙太陽光関連技術が話題の神島化学工業などを挙げた。
「勝てない」と嘆く個人投資家には、心理的な盲点がある。今度こそ、勝てる投資家に生まれ変わって笑おうではないか。
<藤井氏推奨 NISAで狙いたい大化け銘柄>
●メディビックグループ
東マ・2369/単元株数 100株
現在株価 348円/目標株価 600円
予防医療にフォーカスした事業を展開。「第三者割当増資で財務を強化した点も魅力です」
●神島化学工業
東2・4026/単元株数 1000株
現在株価 429円/目標株価 800円
「JAXAを中心に研究開発する『宇宙太陽光利用システム』など、夢とロマン溢れる事業を展開しています」
●カイオム・バイオサイエンス
東マ・4583/単元株数 100株
現在株価 2812円/目標株価 6000円
「完全ヒトADLibシステムの構築に成功し、パンデミック感染症対応や究極のオーダーメイド医療の実現を目指している」
●アドテック プラズマ テクノロジー
東マ・6668/単元株数 100株
現在株価 3900円/目標株価 8000円
「省エネ効果が高いSiC基板向け大気圧プラズマ熱処理装置の開発などに取り組んでいます」
●タカギセイコー
JASDAQ・4242/単元株数 1000株
株価 284円/目標株価 600円
「加熱すると成形しやすくなる熱可塑性樹脂を用いた炭素繊維強化熱可塑性プラスチックス(CFRTP)の共同開発に成功しました」
【藤井英敏氏】
カブ知恵代表。日興証券、フィスコを経て’05年にカブ知恵を設立。大型株から超小型株、IPOまで幅広くウオッチし、投資情報を提供している
※株価は4月7日時点のもの
取材・文/森田悦子 図版/前之浜ゆうき
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