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東証第1部上場企業のPER(株価収益率)から見える日本株急騰の可能性【後編】

←前編はこちら   12年3月期の企業収益予想を前提にすると、11年7月25日時点で15.4倍だ。PERの逆数が株式益利回りで、これが6.48%。 企業が利益を生み出すと、この利益は配当に回されるか、内部に留保される。一般には配当ばかりに関心が寄せられるが、内部に留保されても、これは株主に帰属する資金のため、株価との関係で言えば、配当と内部留保に本質的な差はない。これはモディリアニ・ミラー理論と呼ばれるものだ。  株式の利回りが6.5%もあるのに対し、国債の利回りは1.3%しかない。格差が5.2%もある。株価が変動して格差が3.5%に縮まるとすると、PERが20.8倍に上昇する必要がある。日経平均株価で言えば、1万3650円にまで上昇することになる。  日米欧の3つの不安材料さえ解消されれば、日経平均株価はこの水準まで反発してもまったくおかしくない。3つのリスクをクリアできれば大きなチャンスになる。  また、日米のPERを単純比較して、日本のPERは15倍で適正と述べる人がいるが、これは基本を理解していない。日米で国債利回りに2%程度の格差があるのだから、株式の益利回りにも格差があって当然。慎重にチャンスを見極める必要はあると思われる。 【今週の数字】 東証1部上場企業の株式益利回り 6.48% 株式益利回りとは一株当たり利益の株価に対する比率を示す。債券利回りとの比較で考えるべき指標だ。09年から10年にかけて企業収益が急速に悪化し、益利回りが低下したが、景気底入れで改善傾向にある

04年から07年にかけて株価上昇の下でPERは25~30倍の水準で安定的に推移。だが、サブプライム危機不況で株価は下落。企業利益が改善に転じた現在、PERが低位に置かれたままだ

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