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世界的ラリーで占う 来年の投資先はどこがよいか?(2)

読者は「パリ・ダカール・ラリー」というのを聞いたことがあるに違いない。実は、「パリ・ダカール」は今はすでに存在しない。2009年に、ラリーの開催場所は南米のチリ・アルゼンチンに移動した。「アフリカの治安が悪い」ことが理由だ。ラリーのゴール地点は、従来のセネガルの「ダカール」ではなくなったが、ラリーのブランド名として「ダカール」という言葉を使っていて、それが南米で行なわれているのだ。また、その兄弟分として、ダカール・シリーズという自動車レースが設けられている。ダカール・シリーズとして認められるためには、コース全体の51%以上が砂漠で、一定以上の起伏があるコースでなければいけない。
SWR

撮影/JamesAu氏

ロシアで今年7月9日から始まったSWR(シルク・ウェイ・ラリー)もそのダカール・シリーズの一つだ。日本では、シルクロードという名称が一般的だが、海外では、シルク・ウェイと言われることもある。 この手のラリーはF1とは明らかに違う。毎日、走る場所が変わり、景色が変わる。組織委員会幹部が言うには、そこが重要だという。「どのチームが1位かということも関心事には違いないが、テレビ視聴者の調査によると、ダカール・ラリーではそれは全体の3分の1の重要度だ。次の3分の1は、レースの過酷さ。特に、トラック部門のレースは人気がある。トラックは運転が難しく、転倒する車が多い。死者が出ることもある。また、残りの3分の1は、毎日変わるコースの美しい、あるいは、エキゾティックな風景だ。誘致する国は、それが目的で誘致をしている。経済効果は120百万ドル以上(約100億円)」とのことだ。 シルク・ウェイ・ラリー(SWR)は今年で3回目。毎年、スタート地点は変わる。今年はモスクワがスタートで、ソチが ゴール。ソチがゴールになったのは昨年の2回目からだ。つまり、SWRのロシアでの意味合いが、単なる観光促進のための自動車レースから、ソチを宣伝する ためのツールに変わってきたということだ。 実は、このSWRは、ルクオイルとトランスネフチというロシアの石油関連企業がスポンサーになっている。おそらく読者は聞いたことがないに違いない。それもそのはず。ロシア国内での業務がほとんどで、海外進出はほとんどしていないのだ。 ルクオイルはロシア最大の石油会社で、いわゆるオリガルヒ(新興財閥)の一つだ。一方、トランスネフチはロシアのパイプラインの事実上の独占会社。 東はシベリアから、西はヨーロッパまでをつなぐ、巨大なパイプラインを有する。ロシアは、今や、サウジアラビアをしのぐ、最大産油国だ。石油価格は、今年ははじめのピークからは下ったものの、歴史的な高値圏で安定していると言える。今はまだ平穏を保っているサウジアラビアに、北アフリカ・中東の革命が及べば、サウジアラビアの原油生産量は落ち込み、原油価格はさらに高騰。ロシアがダントツの最大産油国として、一人勝ち。さらに潤うことは想像に難くない。 ⇒世界的ラリーで占う 来年の投資先はどこがよいか?(3) に続く 【筆者プロフィール】 石井至(いしい いたる) 1965年北海道生まれ。東大医学部卒。米・スイス・フランスの外資系銀行でデリバティブ商品開発に従事。28歳でマネージング・ディレクター就任は日本人最年少記録。32歳に引退後、独立。現在は石井兄弟社代表取締役社長。金融コンサルタンティングを軸に、金融・教育分野で事業展開し、運営する小学校受験塾「アンテナ・プレスクール」は名門校への高合格率を誇る。
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