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停滞期から回復期へ。投資マネーはアラブを目指す

ドバイ・ショックの悪夢から5年。4分の1に急落したまま低迷していたドバイ株が、ついに目を覚まし、急回復を遂げている。バブルの再来?「崩壊」はあるのか? 専門家に聞いた。 ◆停滞期から回復期に移行。投資マネーはアラブを目指す!
ドバイの世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」

ドバイのシンボルでもある世界一の高層ビル「ブルジュ・ハリファ」。ドバイ金融市場で時価総額最大のエマール・プロパティーズが企画した

 中東の金融センターでセレブに人気のリゾートでもあるドバイの株価指数が急騰し、世界中の投資家の注目を集めている。 「’12年冬に1301ディルハムの大底をつけたドバイ金融市場総合指数が、今年5月に5374ディルハムまで急騰。投資家からの問い合わせが殺到しています」  そう語るのは、国内の金融機関で唯一ドバイ株を取り扱うニュース証券の小畑直樹氏だ。日本のネット証券などでも、ドバイに投資する投資信託が情報に敏感な投資家の買いを集め、値上がり率ランキングと人気ランキングの双方で上位に躍進した。  ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国のひとつ。首都のあるアブダビに次ぐ人口や経済規模を誇る。このドバイの株価急伸の背景には、何があるのだろうか。 「もともと実体経済は堅調で、不動産市況が回復基調をたどっていましたが、’20年の万博開催が決定したことで投資マネーが一気に流入したのです」  しかし、ドバイといえば、’09年の「ドバイ・ショック」を思い起こす人も多いだろう。不動産開発ブームの真っただ中で政府系持ち株会社の信用不安が発覚し、ドバイ金融市場の株価指数が1年で4分の1まで暴落した金融危機だ。実は最近でも、急回復したドバイ株が今年5月につけた高値から一時は30%以上急落し、ドバイ・ショックの再来を懸念する声も上がっているのだ。 ◆冷や水を浴びせた急落はバブル崩壊の前触れ? 「今回の急落は、バブルの懸念に、建設最大手アラブテックの内紛などが重なったのがきっかけ。利益確定の売りに加え、ドバイ・ショック前に高値掴みした投資家の『やれやれ売り』を呼んだのです。それでも今回は、ドバイ・ショックのときとは違って、当局がバブル再燃を防ぐ投機抑制策を取っていることもあり、短期的な調整局面にすぎないとみています」  確かに、6月末に底をつけた株価指数は7月に入って回復基調にある。ドバイ株は今後も「買い」なのだろうか。  小畑氏によると、ドバイは法人税や関税、電力や水道料金などが安いうえ、経済特区も設けられているため海外からの投資を呼び込みやすい。しかも、国民1人当たりの名目GDPが日本に匹敵する水準にあるなど内需も大きいうえ、中東の民主化運動とも無縁で政情や治安は比較的安定している。  加えて、万博開催が決定したことで関連インフラ整備に伴う雇用の創出や流入人口の増加も期待できるという。 「ドバイ自体は原油の産出はないが、アブダビなどのオイルマネーを背景にした資金力が大きいため、他の新興国と違って開発プロジェクトが計画倒れに終わることが少なく、実行力があります」 ⇒【次回】『ドバイ・ショックから再びバブルへ!?』に続く
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【ドバイの成長に手軽に投資するならファンドがオススメ】 <ドバイ・アブダビ株ファンド> ドバイとアブダビの株式を中心に投資。5月末現在21銘柄を組み入れ、エマール不動産(ドバイ)に約15%、アブダビ商業銀行に約9%投資。2011年の設定以来、合計6500円(1万口あたり)を分配している ●基準価格:1万5881円 ●純資産:14億4200万円 ●信託報酬:1.58% ●販売手数料:3.24% ●トータルリターン:1年 53.52%/3年 35.44% ●主な販売会社:安藤証券、SBI証券、楽天証券 <アムンディ・アラブ株式ファンド> アラブ地域を中心とした中東・北アフリカ諸国(MENA地域)の株式に投資する。国別の組み入れ比率ではサウジアラビアとカタールで7割近くを占めており、ドバイは約9%、アブダビは約6% ●基準価格:9499円 ●純資産:46億300万円 ●信託報酬:2.23% ●販売手数料:3.24% ●トータルリターン:1年 32.32%/3年 23.73% ●主な販売会社:SBI証券、ソニー銀行、内藤証券、フィデリティ証券、マネックス証券、楽天証券、横浜銀行、りそな銀行など <アムンディ・中東株式ファンド> サウジアラビア、カタールなどGCC諸国(湾岸協力会議加盟国)を中心とした中東諸国に投資。組み入れ比率は半分以上がサウジアラビアで、ドバイが約10%、アブダビが約9% ●基準価格:8642円 ●純資産:64億5400万円 ●信託報酬:2.16% ●販売手数料:3.78% ●トータルリターン:1年 33.23%/3年 24.38% ●主な販売会社:野村證券 【小畑直樹氏】 ニュース証券海外株調査室長。三洋証券、トムソン・ロイター・マーケッツ。主にアジア新興国株を担当。自ら現地企業を訪問し、独自視点で分析する。 ※基準価額は7月4日、トータルリターンは6月30日時点のもの ― [第二次ドバイ・ブーム]の衝撃【1】 ―
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