漫画家・西島大介、初の画集は超問題作!? 「何を作ったのかまだわかってない感じ」
ディエンビエンフー』、原発事故後の世界をシニカルかつキュートに描いた『ヤング・アライブ・イン・ラブ』などで知られる漫画家・西島大介。イラストレーターとしても活躍し、若い世代から圧倒的な支持を得ている彼が、漫画家デビュー10周年を記念して初の画集『くらやみ村のこどもたち』(宝島社)を上梓した。
「そもそもは『陽だまりの彼女』(映画化もされた越谷オサムの大ヒット恋愛小説で西島氏が装画を担当)の絵を含む、カラフルな装丁のイラストレーション集という企画だったのですが、『画集を最初に出すならば、今描きたいものを』と方向転換し、今作りたい本、描きたい内容を突き詰めた結果となりました」
西島氏がそう語る初画集は、一見シンプルながら凝りに凝った印刷・造本の特製本。木材に描かれたドローイング作品を質感そのままに伝える写真、グレーの用紙に特別な白インクを重ね刷り、単行本未収録のマンガ作品を蛍光ピンクの用紙にブルーのインクで刷るなど、用紙やインクにもこだわった造りは今どきありえない贅沢さだ。
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「デザイナーの佐々木暁さんが攻めてくれました。もちろん編集さんのご理解も大きかったと思います。僕自身もアイデアは出しましたが、普通のコミックスと違って、判型や紙の種類、印刷を自由に選べる分、大変でしたね。途中で自分が何を作っているのか、わからなくなりました。こういう感じは初めての単行本『凹村戦争』を出したときのものに近く、何を作ったのかまだわかってない感じがします」
タイトルの「くらやみ村」とは、西島氏の近作『すべてがちょっとずつ優しい世界』に登場する架空の村。その村を舞台に、原発を想起させる「ひかりの木」をめぐる物語が展開される現代の寓話的作品で、今回の画集もその世界観を受け継いだものとなっている。
「『すべてがちょっとずつ優しい世界』は、確かに震災以降の状況や僕の個人的な心境を強く反映した作品です。ただ、『くらやみ村のこどもたち』は、そこからも少し自由になっていて、マンガ作品ほど強いメッセージやストーリーがありません。ただ、一枚の、一点の作品が本の中でたたずんでいるだけ、とも言えて物語すらない。ですから、どう読んでもらってもOK。作者として強いて言うなら『静かにゆっくりページをめくってほしい』ことくらいでしょうか。どう読まれるか、どういうふうに手に取ってもらえるか、楽しみではあります」
画集の発売に合わせて、展覧会(8/31~9/29@オン・サンデーズ http://www.watarium.co.jp/onsundays/html/)とトークイベント&サイン会も開催。マンガとアートの境界を超えて疾走する西島大介の新たな一歩を見逃すな! <取材・文/日刊SPA!編集部>
ベトナム戦争を戯画化した『
『西島大介作品集 くらやみ村のこどもたち』 漫画家生活10周年を記念して出版する、初の公式画集 |
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