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サザン、長渕…マキタスポーツがアーティストの「初期衝動」を分析する

ラジオの生放送前にギターの練習をするマキタスポーツ

ラジオの生放送前にギターの練習をするマキタスポーツ

 俳優、ミュージシャンなどのさまざまな顔を持つ“謎のおじさん”マキタスポーツ。『すべてのJ-POPはパクリである~現代ポップス論考』(扶桑社刊)も話題の彼が、ニッポン放送で10月から開始した音楽番組『マキタスポーツ 土曜もキキマスター!』(毎週土曜日 午後7時~午後9時)で、またもやディープな音楽評論を行っている。

 今回、彼が注目したのは「ハタチの音楽」。アーティストたちが二十歳ぐらいの年代にどんなことを歌い、どんなことを伝えたかったのかを考え、その初期衝動の瑞々しさと、その後の変化を考えてみよう、という趣旨だ。

「今をときめくビッグなアーティストも二十歳そこそこのときに、『何かやむにやまれず表現しちゃったよ』という感じでつくった曲が当たって、名曲やヒット曲と呼ばれるものになるということがあります。でも、その初期衝動というかやむにやまれぬ感じで出したものというのは、年を取ると再現できないものです。その『一番最初の熱』みたいなものを評価してみたいんです

 このようなことをマキタ氏が考えるようになったかという背景には、自身の12歳の娘さんの存在が大きいようだ。

「自分の娘は12歳だけれども、12歳なりに一生懸命生きている。だけど、僕も大人になっていろいろと経験しているから、『そっちに行ったらダメだ』とか『そっちに行ってもロクなことねぇよ』というようなことを言って知ったかぶってしまうんですよ。それは娘への愛情があればこそなんだけれど、彼女は彼女なりに胸いっぱいにいろんなことを感じ、吸収し、アウトプットしているんですよね。例え狭い世界の中でも、そこでどれだけ熱くなって生きているか、ということが僕は気になっているんです」

 さて、そこで今回、マキタ氏が選んだのは次の4アーティストの曲たち。大御所から、今現在二十歳そこそこの新人まで、さまざまな「熱」を分析している。

◆1曲目 サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」(1978年発表)

「ササンオールスターズが鮮烈なデビューを飾った名曲です。当時の桑田佳祐さんは22歳(ほかのメンバーも21~24歳)。当時の桑田さんは、のちにサザンオールスターズが国民的なバンドになるなんてことを考えていたでしょうか? のちのいつかのタイミングで、サザンオールスターズが国民的なバンドになることを背負うタイミングというのがあったのではないか、と思うんですけど、このデビュー曲ではそこまでのことは考えていないでしょう。

 曲のタイトルも沢田研二さんの『勝手にしやがれ』とピンクレディーの『渚のシンドバッド』を2つくっつけちゃっているんですよ。あえて言葉を悪く言えば、世の中をなめてますよ(笑)。でも、このなめ腐った感じが、僕にはたまらないんですね。桑田佳祐さんの諧謔精神、ユーモア精神も含めた瑞々しい才能が、このデビュー曲にほとばしっている。サザンオールスターズというアーティストはいろんな面を持っていますが、このユーモア精神が一番の肝だと思っています。やっぱり、二十歳そこそこの桑田佳祐さん及びサザンオールスターズはすごかった、ということです」

◆2曲目 Drop’s 「コール・ミー」(2014年発表)

「札幌在住の5人組の女性ロックバンドです。今、まさに二十歳そこそこのコたちですね。ラジオを聴きなから車に乗っていたときに流れてきた曲。仕事の疲れから走っていられなくなって、車を停めたときにこの曲が流れてきたんです。そしたら、この44歳のおじさんが元気になっちゃった。この曲がカンフル剤になってピューっと家に帰って、妻を愛しましたけど(笑)。二十歳のポテンショナルエナジーを自分はどのように使っていたのか。彼女たちはこの曲にすることができた。僕なんか無駄遣いしていたんじゃないんかな、と思わされる曲です。

◆3曲目 The Strypes 「Blue Collar Jane」(2013年発表)

「今度は洋楽です。二十歳そこそこじゃないですね。今現在でも19歳、16歳のメンバーもいる。2011年結成に結成されたときの平均年齢が16~17歳ですからね。こういうブルースロックをおじさんがやったらそのまんまです。でも、若者がやること自体が批評的でしょう。恐らく彼らが『これ、ヤバイじゃん』と言ってやっている感じと、そのクソ生意気な感じっていうのがね。今現在、最高のロックンロールなバンドだと、僕は思っています

◆4曲目 長渕剛 「巡恋歌」(1978年発表)
◆5曲目 長渕剛 「巡恋歌’92」(1992年発表)


 さて、アーティストの初期衝動とその後の変化のわかりやすい例として、マキタ氏が提示したのがこの2曲だ。長渕剛さんのデビュー曲は実は「愛の嵐山」(1977年発表)という曲だったが、この大ヒット曲「巡恋歌」は再デビュー曲だという。「巡恋歌」発表時の長渕剛さんは22歳。当時の長渕さんが、現在のようなマッチョな姿になることを想像していただろうか、とマキタ氏は語る。

マキタスポーツがアーティストの「初期衝動」を分析する!

マキタスポーツ

「やっぱり長渕さんは歌い人なんですよ。歌いたいことが尽きない人なんですよ。だから僕はその熱を感じて、長渕さんを定点観測しているわけですけれど、長渕さんというのはひとつのところに留まらない。22歳のときの『巡恋歌』と36歳のときの『巡恋歌’92』では、同じ人が歌っているとは思えない。けれども、僕が言いたいのは、長渕さんの気持ちの芯の熱い部分というのは20歳そこそこの頃から、なんだったらティーンの頃から基本的に変わっていない、ということなんです。そのときどきで影響を受けたものとか、出力のあり方というのがちょっと変わってきたりするんですよね。アーティストの変化にはこういう形もある、ということなんですね」

 今後もこの「ハタチの音楽」に注目していくというマキタスポーツ氏。どのようなアーティストがマキタ流に分析されるのだろうか。

※ニッポン放送『マキタスポーツ 土曜もキキマスター!』(毎週土曜日 午後7時~午後9時)、次回放送は11月8日(土)。ゲストはGLAYと水曜日のカンパネラの2組! http://www.1242.com/kikimaster/

※11月8日にはマキタスポーツ氏の“友人”であるダークネス様が率いる「Fly or Die」が、六本木に降臨!
2014年11月8日(土)六本木morph-tokyo
~渋谷公会堂 or Die 第三幕~『薔薇』
時間:開場17:30 / 開演18:00
料金:前売3800円(税込)※ドリンク代別・整理番号付
出演:Fly or Die(ワンマン)
(問)六本木morph-tokyo 03-5414-2683

構成/織田曜一郎(本誌)

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