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「他人のウソの見抜き方」を元特捜部に聞いてみた

基本的にウソをつくのは悪とされてはいるが、本当のことばかり言っていてもうまく世渡りができないのも事実。トラブルを起こさないためのウソ、そしてウソの見抜き方。ウソをうまく利用すれば、人生は好転する! ◆元特捜部の“見抜きのプロ”に聞く、「ウソの見抜き方」
若狭勝氏

若狭勝氏

 ウソを駆使して物事を円滑に進めつつ、他人のウソを見抜くことができれば一枚も二枚も上手に事を進めることができるはず。元東京地検特捜部の“見抜きのプロ”、若狭勝弁護士はこう語る。 「ウソをつく側は、作り上げた架空のシナリオの“矛盾が出ること”をもっとも恐れます。そこで効果的なのが、会話の途中で何度も質問というジャブを入れること。相手は咄嗟の対応を求められるので、『予定していた自分のシナリオが狂ってしまうのではないか』と焦り出す。その動揺はしぐさや言動として表れるので、目が泳いだり早口になったりとわかりやすい“嘘反応”が表れるのです」  嘘反応とは、ウソを見抜かれまいとして本能的に出てしまう反応のこと。想定外の質問を投げられたときに、もっとも出やすくなる。 「さらに『自分の話(ウソ)にそれなりの説得力を持たせたい』と思っているので、ペースを乱されるような質問は、あえて聞こえないふりをして流すのも常套手段。『まあ、とりあえず聞いてよ』とたしなめる場合は要注意です。  他にも、『逆にあなたはどう思う?』と質問に対して質問で返すことや、質問を復唱するオウム返し、聞かれたことに直球で答えずに一般論を答えてぼやかすのも、すべてシナリオを再構築するための時間稼ぎ。このような“はぐらかし”も嘘反応の特徴です」  ただ、“見抜くポイント”を押さえても、自分のウソが簡単に見抜かれてしまっては元も子もない。 「ウソをつくなら会話の速度とディテールに注意する。ウソの部分だけ『相手に印象づけよう』とペースが遅くなるか、または逆に『突っ込まれたくない』と早口になるので速度も安定しません。話も、現実味を帯びさせるために一部だけ妙に細かいか、漠然としているかだと、かえって相手に違和感を与えてる。『会話の内容やペースにムラを作らない』、これも上手なウソのつき方の一つです」  見抜く術を自分にもあてはめてみることで、より見抜かれにくいウソを体得できるのだ。 <見抜き方のポイント> 細かなジャブ(質問)でペースを乱し、嘘反応を引き出すべし! 【若狭勝氏】 若狭・高橋法律事務所/代表弁護士。26年にわたり、東京地検特捜部をはじめ東京地検公安部長を歴任。著書に『嘘の見抜き方』(新潮新書)など 取材・文/青山由佳 ― [上手なウソのつき方]で人生は変わる!【5】 ―
嘘の見抜き方

プロはどこを見ているのか?嘘をどう崩すのか?

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