詐欺師の“儲け話”を信じさせる手口。キラーワードは「あなただけ」
基本的にウソをつくのは悪とされてはいるが、本当のことばかり言っていてもうまく世渡りができないのも事実。トラブルを起こさないためのウソ、そしてウソの見抜き方。ウソをうまく利用すれば、人生は好転する!
◆詐欺師の手口を暴く!
「あなただけ」をキラーワードに、儲け話を信じさせる
自分だけは騙されまいと思っている人ほど危ない。人間のわずかな心の隙間を狙ってくるのが詐欺師たちだ。漫画『クロサギ』の原作者である夏原武氏に、その手口を聞いた。
「詐欺師のつくウソは、最初が一番肝心です。言い換えると、入り口さえ突破すればあとは楽」
というのも、相手の選民意識をくすぐる言葉を並べれば人はかくも簡単に騙されてしまうという。
「キーワードは『あなただけ』という言葉。ウソの儲け話をする際に『特別なあなただけに』、『この地域に住むあなただから権利がある』など、自分が選ばれた人間だと思い込ませると、突然の儲け話も受け入れてしまうんです」
また、相手に必要以上に思考させたり、質問をさせるのは詐欺師にとってマイナスでしかない。そのために用意されているのが「あなたはご存じでしょうけど」と「申し上げるまでもないですよね」というフレーズ。
「知らないとおかしいという言い方をすると、ほとんどの人は曖昧な返事をしてしまうんです。これで相手の質問する余地を奪います。『あの会社の株価が上がったのはご存じですよね』とか言われたら、大抵の人は『ええ、そうでしたね』と答えてしまう。詐欺師は時事ニュースに精通しているので簡単にボロも出ませんよ」
そして、さらにダメ押しで登場するのが通帳やゴールドなどの小道具。これらを実物で用意してしまうのが詐欺師の恐ろしいところだと夏原氏は言う。
「小道具に関してはカネと時間をかけて本物を用意します。言葉たくみにそそのかされたあと、配当金が毎月5万円ずつ振り込まれている通帳を見せられたら、ほとんどの人が信じてしまうんです」
騙すための手間暇は惜しまないのが詐欺師。最後に夏原氏はこう忠告する。
「詐欺師のトップは、人を惹きつける魅力的な人間というケースが非常に多いんです。外見も言葉遣いも、人を騙すために日夜努力しています。素人が見破るのは至難の業ですね」
被害者に多いのは自分の経済観念や価値観を過信している中年男性だという。SPA!読者諸兄にはくれぐれも注意してほしい。
【夏原武氏】
裏社会に関する著書をはじめ、漫画原作も手がける。主な代表作に『クロサギ』(小学館)、『アカマクラ』(秋田書店)など
取材・文/中村未来(清談社) イラスト/大ハシ正ヤ
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