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平日の河川敷に100人! 荒川のアザラシフィーバーを覗いてみた

志木のあらちゃん

志木の特別住民「志木のあらちゃん」。記者が取材に行ったこの日は現れなかった。

埼玉県志木市の荒川・秋ヶ瀬取水堰にゴマフアザラシが出没し、地元が沸いている。同市は「志木あらちゃん」と名付け、特別住民票を交付し、公式ツイッターなどを更新する担当職員を付ける熱の入れっぷり。特別住民票が交付された翌日、その現場を覗いてきた。 ※【フォトレポート】も公開中! ⇒https://nikkan-spa.jp/78383/p1020082 現場は志木駅からバスでおよそ20分。荒川河川敷に降り立つ。土手から川方面を見ると、そこには異様な光景が広がっていた。土手から川へと向かう道は車の列、列、列。車が通れない「あぜ道」にも自転車の列が続いていた。 取水堰に到着すると、川面をのぞく人、人、人。河川敷のなかのちょっとした広場には、民放テレビ局の移動中継車が鎮座し、生放送でのリポートの真っ最中であった。まだ午前中だというのに、ざっと数えるだけでも100人以上がじっと佇んでいる。なぜかアザラシの顔が描かれたカッパを着た中年女性がインタビューを受けていた
アザラシのかぶり物を着た中年女性

インタビューされるアザラシのかぶり物を着た中年女性

焼きそばの屋台

河川敷に焼きそばの屋台が出現

広場の横を見ると、ひっそりと焼きそばの屋台が出ていた。ひと皿400円。ジャージ姿で茶髪の男性が作り置きの焼きそばがこんもりと盛られた鉄板の前に座り、川面を眺めている。1本200円の飲み物を購入し話を聞くと、「今日はまだアザラシは出てないね。昨日なんかずっと護岸のコンクリートに寝転んでいたんだけど……」という。アザラシ出現報道が出るやいなや、この場所で商売を始め、1日約1万円を売り上げているとか。 「(アザラシが現れて初めての)日曜は凄かったね。テレビ局も民放は全局来て大騒ぎ(笑)。結構儲かったけど、地元の祭りに出すよりは少なかったなぁ」と肩をすくめていた。「ここに毎日いる人から『たこ焼きやれよ』とか言われるんだけど、売れないからね。手堅く焼きそばでいくさ」と言って作り置きの焼きそばを温め直していた。
弁当の移動販売車

「志木宗岡の高倉健」さんが作る弁当の移動販売車も来襲

広場に一台のクルマが止まり、中年男性が降り立つと「あらちゃん弁当発売しまーす」と大声を発した。正午も近いことがあってか、あっという間に人だかりに。 「志木市宗岡の高倉健」を名乗る中年男性が「日本語のわかる方は集まって下さーい」と呼び込み、不思議な口上を述べはじめた。「昨日は完売した弁当でーす!」「志木のB級グルメ、はたざくらカッピーコロッケと肉の”あら”が入ってまーーす」と鼻息荒く声を上げていた。
あらちゃん弁当

「あらちゃん弁当」(500円)。志木のB級グルメ、「はたざくらカッピーコロッケ」と肉の切り落としの部分=“あら”が入っている

前日自分で撮ったというあらちゃんのプリント写真を配り、若い女のコの気を惹く中年男性、「報道される1年前からこの辺にアザラシが出ていたぞ!」と持論を展開する老人「俺は多摩川のタマちゃんの時からのアザラシファン。あの時は2か月間追っかけて3回しか見られなかった。今日見られないなんて当たり前だよ」と、アザラシが現れないのを嘆く中年女性グループを“慰める”ジャージ姿の男性など、個性溢れる人々でごった返していた。 しまいには交通整理のためか、パトカーが巡回するなどカオスな空気はぐんぐん増した。一向に姿を現さないあらちゃんに痺れを切らし、小一時間ほどで帰る人も続出。記者も肌寒さと腰の痛みに負け、2時間ほどで退散。あらちゃん弁当と焼きそばを平らげただけの取材となった。 取材・文・撮影/東中野のトマちゃん
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