ニューロティカあっちゃん「墓場まで持っていこうとした話を映画で…」
●「あっちゃん」公式HP http://www.acchan-movie.com/
<取材・文/日刊SPA!取材班>
あの「あっちゃん」が映画になる。といっても、元AKB48の前田敦子ではない。2014年で結成30年を迎えたニューロティカのフロントマン、イノウエアツシだ。
1984年、バブル真っ盛りの時代にデビュー。ブルーハーツ、ジュンスカと並び“ロック御三家”と称されたニューロティカ唯一のオリジナルメンバーとして、時代を駆け抜けてきたあっちゃんも50歳。ピエロの衣装を身にまとい、アップテンポな楽曲を歌う姿を見たことがある人も多いだろう。
明るく、楽しく、はしゃぎ続ける陽気な道化師――本作は、そんなあっちゃんの「化粧の下」に迫った、意欲的なドキュメンタリー作品だ。
◆誰からも愛される、稀有なキャラクター
吉田豪氏がラジオ番組で特集を組んだり、浅野忠信氏が楽曲をコピーしたりと、ニューロティカに影響を受けた文化人は数知れない。映画の中にも宮藤官九郎、大槻ケンヂ、綾小路翔(氣志團)、矢沢洋子、石坂マサヨ(ロリータ18号)に宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))と、実に豪華な顔ぶれが「あっちゃん」の奇特な存在感について証言している。
監督のナリオ氏が語る。
「ミュージシャンにスポットを当てた映画は邦画、洋画を問わずたくさんあるけれども、個人をテーマにしたものってあまりないのでは。ここがとても大事なところで、映画の監督を引き受けた際、ニューロティカではなく、あっちゃんの映画にしようって思ったんです。もともとはファンではなかった僕も、撮っているうちにイノウエアツシに惹かれていって……見てもらえれば、こんなすごい人がいたってことが伝わると思います」
◆「墓場まで持っていこうとしていた話を……」
特筆すべきは、映画「あっちゃん」はクラウドファンディングによって資金調達された点だ。その額、1000万円弱。自主制作映画としては過去最高、CAMPFIREの2014年度総合記録としても第2位。「観たい」と思った人がそれだけいた証左といえるが、あっちゃん本人に聞くと照れながらもにこやかに話してくれた。
「みんなにカネだしてもらって自分の映画作るなんて、嫌だよって最初は思いましたよ。もう50歳だし。髪はね、昨年からプロペシアを飲んだおかげで、カッパだったのがだいぶ生えてきたけども、自分の親であったり、お菓子の仕事してる姿であったり、そういうところにカメラが入るわけだから。そりゃ最初は抵抗ありました。
でも、いざお金が集まってきたら、みんなの気持ちとか期待を感じて。腹をくくるしかないなって思いました。だから、監督のナリオには墓場まで持っていこうと思っていた話を全部打ち明けたのね。俺は試写を観ていないけど、そのシーンも入っているみたい」
公開に先立って行われた「あっちゃん」の記者会見でも全貌は明かされていないが、この作品の大きな見所になりそうなのがラストシーンだ。
「ハッピーで、笑って、元気になるっていう、いわゆるステレオタイプなニューロティカ、あっちゃんのイメージではない展開がエンディングに待っています。ピエロの化粧の下を撮った、とでもいいますか。思わず背筋を伸ばして観る、そんな風に仕上がっていると思います。ファンはもちろん、多くの人にイノウエアツシを観てもらいたいですね」
どこにでもあるお菓子屋さんに生まれた男の、どこにもない生き方「あっちゃん」は、4月18日に渋谷HUMAXシネマ、シネマート心斎橋を皮切りに、劇場公開される予定。ぜひ、足を運んでエンディングの目撃者となってほしい。
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