「震災当時の募金額から10分の1以下に」岩手の特撮ヒロイン・加村真美に聞いた“今からできること”
東日本大震災から4年。復興は道半ばだが、時とともに震災への記憶は少しずつ薄らいでいるように感じる。そんななか、3月10日、東京・丸の内エリアにて、東北3県の今について語らい今後の震災復興を考える『東北これから会議 2015』が開催された。
今回は、同イベントのアンバサダーを務める加村真美さんに話を聞いた。加村さんは、岩手美少女図鑑から派生した被災地支援ユニット・chairmans(チャーマンズ)のリーダーとして活動しており、2011年10月からテレビ岩手にて放映の特撮ローカルヒーロー『鉄神ガンライザー』のヒロイン役にも抜擢された生粋の“岩手っ子”。そんな岩手県在住の彼女は今、何を思うのか――。
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――震災から4年が経ち、世間の記憶も少しずつ薄れているように感じます。
加村真美(以下、加村):むしろこれからだと思います。震災のことを東北以外の人に忘れてほしくないですし、震災当時の募金額と比べて、今はその10分の1にも満たないらしいんです。だんだん記憶から薄れていくと思うと悲しいんですけど、だからこそ「忘れないでほしい」と伝えることは大事にしたいですね。
父親の実家が宮古なので毎年行ってるんですけど、今まで見慣れていた風景もすっかり変わってしまいました。今は瓦礫がなくなってきれいになっただけで、そこからの復興がまだ進んでいないので、やっぱりこれからだなと。
――震災当日のことを聞かせてください。
加村:その日は雪が降っていて、わたしは買い物で盛岡駅にいたんです。そしたら地震がきて。「駅の中にいるのは危ないので出てください」ということで外に出ました。近くのホテルの人が毛布を持ってきてくれて、みんなで毛布にくるまって暖をとったんです。
3日くらいテレビがつかなかったので、ラジオだけが頼りでした。今何が起こっているのかも、ラジオの音でしかわからなくて。それからテレビがついて「あ、今こういう状況なんだ」ってすごいショックでしたね。
――チャーマンズや『鉄神ガンライザー』の活動を始めるようになったのは?
加村:すべて震災がきっかけですね。チャーマンズは、岩手の人に少しでも笑顔を届けられたらいいねっていうのが始まりで。これからも、岩手の人たちに密着した活動をしていきたいんです。地元だと、ガンライザーと一緒に幼稚園や保育園の子どもたちに会いに行くことがあるんですよ。そうするとみんな喜んでくれて、岩手を守ってくれる憧れの存在だと思われているのがうれしいですね。
――上京して芸能活動をする人が多いなか、岩手を大切にしている姿には感心してしまいます……。
加村:ガンライザーの撮影とかで各地に行くと、いろんな人に「頑張ってね、応援してるよ」って言ってもらえて、みなさん優しいんですよ……。「岩手、素敵だな」と思うと、好きになって離れたくないですね。こういう活動をしていなかったら、岩手の魅力には気づいてなかったかもしれないし、岩手を離れてたかも(笑)。
震災がなかったら、みなさんに何かを伝えたい、やりたいという気持ちにはならなかっただろうし、もっと岩手で頑張って、今ではみなさんに元気や笑顔を届けられるんじゃないかなと思えるので、岩手で活動していてよかったです。
――震災から4年を迎えた今でも、被災地では7割の人が仮設住宅で暮らしているというニュースを耳にしました。
加村:今は、仮設住宅でもいろいろ問題が起きていて……「ストレスで限界だ」と言っている人もいますし、壁にカビが生えてしまったり。そういう現状を、3月11日の近くにならないとテレビでもなかなか伝えないじゃないですか。もうすぐ4年です、今の現状は……じゃなくて、毎日が大事なのに。
――これから、何かやりたいと考えていることはあるのでしょうか?
加村:最近、東北在住で活躍している人がいっぱいいることを知って、うれしくなりました。アーティストさんやバンドだったり、料理家や衣類を作っている人だったり……若い人たちが多かったので、いろんなジャンルの人が集まってイベントをやったら、東北がおもしろいことになるんじゃないかなって一人で妄想しています(笑)。これは本当にやりたいです!
――実現させましょう! みなさんお願いします。では最後に、読者の方へメッセージはありますか。
加村:「支援とかどうしたらいい?」ってよく聞かれるんですけど、すごく簡単なことなんですよ。岩手に遊びにきてくれて、観光しておいしいものを食べて、お土産を買って帰ってください! それだけで復興につながります。東京にも岩手のアンテナショップがあるので、まずはそういうところに行ってみて、いつか遊びにきてくれたらうれしいですね。
この日は、東京と現地をつなぐ東北ネットライブ会議で「教育」「働く」「地域づくり」をキーワードに東北3県の今を考え語り合い、キャンドル点灯式や東北にゆかりのあるアーティスト2組によるミニライブなどが行われた。
あの日から5年目へと歩み出す’15年度で、集中復興期間は最終年度を迎える。記憶を風化させないためにも、改めて震災について考えていきたい。
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<取材・文/北村篤裕 撮影/西田周平>
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