タワレコ社長が語る ローカルアイドルの可能性
「T-Palette Records」は、バニラビーンズ、Negiccoを皮切りに、しず風、LinQとメジャー系、ローカル系問わず、アイドルソングを次々とリリースしている今注目のレーベルである。自らアイドルオタクを自称している嶺脇育夫・タワーレコード代表取締役社長に、自らのアイドル史とローカルアイドルの可能性について語ってもらった。
「アイドルソングに注目するきっかけは、そんなに昔ではなく、モーニング娘。から。それまでは洋楽ばかり聴いてきたのですが、’00年くらいに急に目覚めたんです。テレビをつけていたらちょうど辻ちゃんが出ていて、「カワイイな』って(笑)。それで『Memory青春の光』を聴いてみたらカッコイイ。そこから気づいたらズッポリです。あとモーヲタの熱狂ぶりにビックリしたんですよ。ファンのほうに興味を持って、ロフトプラスワンのトークイベントに通ったり、AKB48劇場にも足を運びましたよ。でも、AKBに関しては、ハマるのを自重したんです。劇場通いし始めたら仕事辞めなきゃいけなくなるから(笑)」
その後、アイドルへの興味はBerryz工房などハロプロ系、さらには当時ブレイク間近だったPerfumeへと広がった。
「Negiccoを知ったのも、まなみのりさ(Perfumeと同じ広島アクターズスクール出身の3人組)を見に行ったのがきっかけで、ライブの曲が良くって。だからレーベルからリリースする曲は(初期から作編曲を担当していた)connieさんにお願いするという条件を付けました」
それでは、レーベルの運営者としてローカルアイドルをどう見ているのか?
「強みは地域性ですよね。だからNegiccoには今後もねぎを前面に押し出してほしい。これから知ってもらう人にはねぎっていい武器なんですよね。ローカルアイドルの主導役は、各地の地方自治体・芸能スクール・広告代理店などのいずれかなんです。今、Negiccoは振り付けの方やヴォイストレーナーもいないなか、自分たちだけで頑張っている。それでもやってこれているのは、やっぱり地元に根づいてるからですよね。ちなみにLinQを知ったのはユーチューブに上がってる「ハジメマシテ」の動画をたまたま見たんです。ネットで地方にいるアイドルも容易に知ることができるようになりました。ただ、物理的な距離があることの難しさは感じます。やっぱりマーケットは東京ですから。でも、アイドルなら、そこを超えることもできると期待しています。ネットや全国チェーンを持つレコード屋として、その強みを活かして、ここから音楽業界を刺激できればいいですね」
【嶺脇育夫氏】
’67年、秋田県生まれ。’88年タワーレコード入社。’98年に新宿店店長などを経て’11年に代表取締役社長に就任。アイドル専門レーベル「T-Palette Records」を6月に立ち上げた
取材・文・撮影/エドボル 取材・文/渡辺一史 安田はつね(本誌)
撮影/山川修一・山田耕司(本誌)
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