レイプ犯を刺し殺す…昔のBL作品はこんなにエグかった
今や書店の一角を占拠するようになったBL漫画。2015年は『セブンデイズ』『同級生』などの人気作品が映画化され、その勢いはとどまるところを知らない。
池袋の乙女ロードでは腐女子たちが萌えを求めて華やいでいる。
だが、BLの源流とされている1970年代の「少年愛」の作品は、現在のように楽しい気分で読めるようなものではなく、もっと暗くて重く、そしてエグかった。
◆寄宿学校がレイプの場と化す
寄宿学校と言えば、男子だけの閉鎖的な空間で、BLにはもってこいの舞台だ。人気漫画家・びっけ氏の『真空融接』も寄宿学校の話だが、大衆の面前で男子同士でキスしていても何も言われず、2人だけの世界を堪能できる。
だが、1970年代に連載が始まった『風と木の詩』では、セルジュとジルベールという美少年がロッカールームでキスしているところを上級生に見つかり、両手足を縛られ性的な行為を強要される。
他の場面でも、セルジュは上級生に動けなくなるまで殴られ無理矢理キスをされたり、ジルベールも教師に安宿に連れ込まれ、抵抗すると跡が付くまで鞭打たれたりする。
寄宿学校が男子同士の神秘的な空間であるなどという幻想は見事に打ち砕かれ、そこには色欲と暴力を見ることになる。
◆おじ×甥っ子も虐待の連鎖の内である
「おじ×甥っ子」というのも、ひとつの萌えるカップリングである。『よそはよそ、ウチはウチ』という作品では、おじと甥っ子がイチャイチャしながら新婚さんのような楽しい日々を送っている。
『風と木の詩』のジルベールもおじと性的な関係を持っているが、それは甘々な新婚生活とは程遠い。
おじはジルベールと打擲(ちょうちゃく)したり花瓶の水を浴びせかけたりして、小学一年生くらいの彼を支配しようとする。だが、そのおじ自身も年端も行かぬころに実の兄から性的虐待を受けており、虐待が連鎖することの一例を読者は目の当たりにすることになる。
◆レイプ犯を刺し殺す
日常系のBL作品においては、人を殺すことはまずない。
だが、『風と木の詩』には殺人シーンが存在する。ジルベールの美しさに虜になった屋敷の使用人が、真夜中に彼の部屋に忍び込み、力づくで犯そうとする。逆上したジルベールは包丁を持ち出し、彼の腹を付き差し殺してしまう。そんな血生臭い場面も、昔のBLには存在していた。
現在のBL作品は、どんな過激な描写があれど、そこには愛があり、読者も明るい気持ちで恋愛やセックスシーンを楽しむことができると言われる。
だが、昔のBLは児童虐待の様子が前面に押し出され、カトリック教会の神父による児童虐待などの社会問題も彷彿とさせる。
腐女子が一度これらの昔の作品を読んだら、BL熱が冷めそうで一抹の不安を感じる作品群だ。 <文/高田のばら>
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