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秋冬にかけて「おしゃれに見せる」ための3つの心得

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第42回目をよろしくお願いします。
メンズファッションバイヤーのMB氏

メンズファッションバイヤーのMB氏。「『オシャレに見える』にはちゃんと理由があるんです」が持論(撮影/難波雄史)

 猛暑が終わり秋がやってきました。秋冬はおしゃれが楽しい季節。一般的にアパレルの売上は「春夏:秋冬=4:6」や「4.5:5.5」とも言われていて、秋冬の売り上げが大きいものです。重ね着する機会も多く、使えるアイテムもコートにジャケットにシャツにニットと幅広い。おしゃれをするには最適な季節です。  しかし、自信がない人にとってはやっかいな時期でしょう。夏はTシャツ一枚でそれなりに見せることができていましたが、秋冬はそうはいきません。店員もここぞとばかりに、「今年はレイヤードが~」とか「モックネックでスッキリ見せると~」「ノーカラーいいっすね~」など呪文を唱えはじめ、混乱させてきます。  今回は一度原点に戻って、簡単に最速で「 おしゃれに見せるための心得」を3つお教えします。秋冬の季節にぜひ参考にしてみてください。 ▼心得①「使わない服は捨てる」 「また流行が来るかもしれない」 「これはすごく高かったから」  と、後生大事に3年前4年前の洋服をとっている人、意外と多いはずです。とくに男性は収集癖がある方も多く「捨てる」ことが苦手。「いつか使うかも」「わざわざ捨てることはない」となんとなくタンスにとっておいてしまうものです。  いや、もちろん着るならいいんですよ? 今着ている洋服を捨てる必要はありません。しかし、大して着ることもなく、お気に入りでもない何年か前の洋服を大事にとっておいても無駄。いや「無駄」ならまだしもそれらが「マイナス」に働くことも。  たとえば、「黒いパンツ」を持っていると、お店で黒のパンツをみても「もう持っているからなあ」と心理的なブロックがかかり思い切ることもできません。「使わないものでワードローブが手狭になる」という物理的な理由ももちろんありますが、実は「使わないものをいつまでも持っている」という行為は「新しい買い物を妨げてしまう」効果があります。  使わないのならば捨てる!  ちなみに「また流行がくるかもしれない」と大切にとっておく方もいらっしゃいますが、流行は確かに巡りますが、実はスパイラル状に微妙に形を変えて進化しています。  たとえば3年ほど前からメンズファッションでは80年代トレンドがありました。ダブルのジャケットや小脇に抱えたバッグなどバブル期を彷彿とさせるスタイルですが、これも80年代当時とまったく同じなわけではありません。バッグは「セカンドバッグ」ではなく、現代は直線的でシンプルデザインの「クラッチバッグ」に進化し、ダブルのジャケットも肩がえらいことになっているビッグショルダーではなく、現代は細めの華奢でシンプルなものに進化しています。  流行は同じことを繰り返すわけではなく微妙な変化と進化を伴いながら巡っているのです。つまり「10年前のものは10年前のものでしかない」ということ。変な未練と一緒にきっぱり捨てるのが吉です。 ▼心得②「カジュアルに寄りすぎない」 「チェックシャツにはデニムがいいよな」 「カーゴパンツにはスニーカーだよな」 と、カジュアルなアイテム同士で合わせると一気に野暮ったくなります。度々主張しているのですが、世の中のメンズ服は「ドレスライクなもの」と「カジュアルライクなもの」の二種類に分かれます。ドレスとはスーツのこと。テーラードジャケットやスラックスや黒や細身といったスーツの要素が「ドレスライク」です。一方でカジュアルとは普段着のこと。インディゴデニムやチェックシャツやカーゴパンツやスニーカーやカラフルな色やルーズシルエットといった「ラフ」なスタイルが「カジュアルライク」です。 「ドレス」は緊張感を、「カジュアル」はラフさや余裕を表現します。ゆったりとしたスウェットに色落ちしたデニムでは「コンビニに行く兄ちゃん」であり、誰もおしゃれだとは感じてくれません。同様に、テーラードジャケットにスラックスに革靴では、「仕事かな?」と思われても、街着の「おしゃれ」には思われないでしょう。 「おしゃれ」とはこの両者を織り交ぜたものです。これを「ドレスとカジュアルのバランス」と呼んでいます。  おしゃれな人はこのバランスのとり方が実に上手い。テーラードジャケットにデニムを合わせたり、カーゴパンツに革靴を合わせたり。街でおしゃれだなと思うショップスタッフをこの視点でチェックしてみてください。ほとんどがそういったバランスを意識した着こなしをしているはずです(無意識的にかもしれませんが)。 「バランスなんて難しいよ!」と思うかもしれませんが、はじめは簡単に考えてください。  スウェットパーカーにデニムにスニーカーを、トップスだけはテーラードジャケットにしてみるとか。Tシャツにデニムにサンダルのところ、デニムをスラックスにしてみるとか。  そういった「1点」だけでも、印象は随分変わるはずです。これは9月17日発売の書籍『最速でおしゃれに見せる方法』でも語っているメンズファッションの極意です。 ▼心得③「むやみにバリエーションを求めない」  雑誌を開くと「今年は◯◯が流行り!」「今年はこれを買え!」「カーゴパンツは手に入れておこう!」「ニットはタートルを買わなきゃ!」など、とにかくバリエーションを求めてきます。  毎日私服で過ごす大学生の男の子ならいざ知らず、仕事に忙しい30代以上は週に1、2日程度着る服のことでバリエーションを増やすことはありません。毎回同じものを着ていてもいいんです。いつも同じような格好をしていても、実は「おしゃれ」に見えるならばあまり突っ込まれません。  私もバリエーション派ではなく、そのシーズンに気に入ったスタイルをずっと貫くタイプです。そのスタイルが一番カッコイイと思っているのですから、わざわざ二番手、三番手を選ぶ必要がないからです。バリエーションを増やすよりも「週に1、2度の休日をもっとも格好よく過ごせるアイテムを選ぶ」ほうが賢明です。  身近にいるおしゃれな人を思い浮かべれば納得かと思いますが、実はおしゃれな人ほど毎日似たような服装ばかりしているものです。  美意識が強いため、自分を一番よく見せてくれる「今一番のスタイル」を着たがるからです。ファッション誌が提唱する「1か月コーディネート」なんて必要ありません。節約のためにも「最高の1スタイル」をつくることがおしゃれの近道です。
「1スタイルあれば1シーズン楽々乗り切れますよ」

「1スタイルあれば1シーズン楽々乗り切れますよ」

「おしゃれになるための心得」いかがでしたでしょうか。9月17日発売の書籍『最速でおしゃれに見せる方法』では「具体的にどんなアイテムをどんな風に着こなせばいいのか?」という内容を論理的に解説しています。誰もが求めていた、感覚的ではない方程式のようなおしゃれの教科書。しかも掲載されている商品はユニクロや無印など手頃なものがたくさん。おしゃれはセンスもお金も必要ないのです。数学と同じです。方程式を知れば解を導き出せる簡単なものなのです。 〈文/MB〉
MB
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 <実践編>』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag

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