山口組分裂抗争ではネット部隊が暗躍!? 組員が語る「仁義なき戦い」
2015年8月下旬に分裂して以来、六代目山口組と、離脱者が新たに結成した神戸山口組の示威行為は全国各地で衝突を招き始めている。
11月には仙台の繁華街に山健組を中心に数十人が集まり、地元の山口組系組織と一触即発の事態が勃発。100名もの機動隊が駆けつける騒ぎとなった。その翌月にも山口組系秋良連合会の傘下組織に乗用車が突っ込み、事務所入口が破壊される事件は衝撃を与えた。
今回の分裂騒動でより攻撃的に見えるのは神戸山口組の方だろう。ネット上でも武勇が語られる記載が多くみられ、士気の高さがうかがえる。だが、実際に神戸山口組の有力二次団体の幹部に話を聞くと、意外な答えが返ってきた。
「神戸山口組で陣頭指揮をとっているのは若頭代行兼、山健組副長にも抜擢された織田さん。井上の親分の秘蔵っ子で、各地域に責任者を置いて機動性の高い動きをしている。押せ押せムードを演出しており、見事だと思う。でも、皆が皆、織田さんのように士気が高いわけではない。ただでさえ厳しかった生活が分裂以降、さらにキツくなっているので勘弁して欲しいと思う場面が増えている。個人的意見は、示威行為など山口組を本気にさせるだけではないか? とも思う。
それに神戸山口組は会費が安い、なんて言われていますが、それは直参に限った話。私ら枝の人間が払う会費は以前と変わりないし、分裂以降はボディーガードや示威行為に駆り出されることが増えた。三次団体の組員は、所属組織への上納金とは別に、組員数×1万円が課せられます。上の人間は『若い者の将来を考えて組を割った』と言いますが、上層部同士のメンツ争いに振り回されている感は正直あります」
この幹部に入る情報によれば現在、山口組直系組長の場合、執行部と顧問が125万円、幹部が85万円、若中で65万円が会費として毎月徴収され、年末年始の経費として30万円が別途されている模様。
一方で、神戸山口組の二次団体である山健組は、執行部や舎弟会費が40万円、臨時金が年10回30万円、他に年末臨時金500万円。若中でも今までと変わらないそうだ。
では、山口組サイドの若手組員は今回の分裂抗争をどう捉えているのか。三次団体の組員に聞いてみた。
「所属している組織や名古屋(弘道会)との関係によって、意見は全然違うでしょうね。ただ、神戸山口組のやり口が想像以上に汚いので、腹に据えかねた組が弘道会以外でも出てきている。言いたいことはたくさんありますよ。
まず、向こうはカネを払って雇ったネット部隊を使って、作り話を書き込ませているんです。特に織田のネット部隊はひどい。自分を神格化させることに必死で、“ない話”をネットに流している。例えばどこそこの組に乗り込んだ、とか囲んだなどと書かれてますが、実際はその地域でお茶を飲んで、あるいは飯だけ食ってすぐ帰っただけ。示威行為だって事前に警察に連絡してからやってますから。『今からどこそこ行きますわ』『寒いんでぼちぼち帰ります』こうやって警察を呼び込んだ上でイキってるわけです。寒いでしょ?」
それでも、神戸山口組には山口組から二代目古川組が加入するなど、直参と呼ばれる直系組長の数は増えている。この流れはどう見るのか。
「新しく加入した親分さんら、よーく見てください。今までの借金チャラにするからおいで、役職も支度金もあるよと。カネで困っているのか、高齢者組長を一本釣りしているだけでしょう。彼ら(神戸山口組)の泣き落とし聞いたら笑えますよ。一部ジャーナリストを使って流している『六代目は国税に逮捕されますで。証拠めくったら一発ですわ』から入って、『ウチの親分も心配してます』『これからの若い者の将来のために』と畳みかける。ヤクザが警察、国税の威を借りてるんだから、なんだかねえ」
もっとも、一番尻に火がついているのは司忍組長の出身母体である弘道会のようだ。
「最初の動きは鈍かったけど、ここへきて弘道会を主力とした部隊が整えられ、すでに関西方面に投入されています。和歌山では山健組が派遣していた偵察車両を発見し、取り囲んだとの話もある。神戸においても50人ほどの実働部隊が控えており、いつどこで音が聞こえてもおかしくない。弘道会に関して言えば、ネット上でひどい書かれようをされていますが、いざ事が起きた時に動けば一夜にして世間の評価など変わるでしょう」(同前)
情報戦で火花を散らした後は、やはり力での対決が待っているのか――二大組織の“仁義なき戦い”は、当分目が離せない。 〈取材・文/日刊SPA!編集部〉
「金を払ってネット部隊に作り話を書かせている」
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