オリンピック柔道で金メダルを獲れる限界年齢は何歳?
前回は体重別と無差別の階級の歴史をご紹介しました。第2回の今回は何故、オリンピックの柔道には35歳、40歳のチャンピオンが誕生しないのか?柔道選手と年齢の話にスポットを当ててみました。
世界には様々な格闘技がありますが、30歳代後半から40歳代の高年齢の選手が王者となった例は枚挙にいとまがありません。
格闘技黎明期から戦前戦後、そして1960年代位までは高年齢の強豪選手がかなりいました。伝統のプロボクシングでは20世紀初頭にヘビー級を含む3階級制覇を達成したボブ・フィッシモンズが40歳で世界ライトヘビー級王者を獲得し、史上最強と言われたジョー・ルイスは足掛け12年に渡り世界ヘビー級王座に君臨し34歳で25度目の防衛を果たしました(王座を返上し37歳で引退)。世界ミドル級王座に5度も就いたシュガー・レイ・ロビンソンも38歳で最後の王座から降りましたが、ラストファイトは44歳でした。アーチー・ムーアは出生年が明確ではありませんが39歳で世界ライトヘビー級チャンピオンとなり49歳まで世界ライトヘビー級王座に君臨した(9度防衛)とする説があります。プロレスは「競技」ではありませんが、ルー・テーズやカール・ゴッチの例を引き合いに出すまでもなく、ガチンコの「プライベートマッチ」では40歳代後半でも全盛期並みの実力を保持していた選手が非常に多くいたことはよく知られています。テーズの師、エド・ストラングラー・ルイスは驚くべきことに48歳で競技としての真剣勝負を行っているということです。
その後ボクシング界は、80年代に彗星のように現れたマイク・タイソンが史上最年少(20歳5カ月)で世界ヘビー級王者になるなどスピード、パワーといった身体能力に優れた若い選手が競技の場では優位となる傾向が見られました。ですが70年代に36歳で世界ヘビー級王座に3度目の返り咲きを果たした英雄モハメド・アリの伝説のファイトや80年代に37歳で4階級目の世界ミドル王座に就き50歳まで現役を続けたロベルト・デュランの超人的タフネスぶり、90年代にジョージ・フォアマンが45歳10カ月で世界ヘビー級王座に20年ぶりに返り咲くという奇跡を見るにつけ、「ヴィンテージ・ワインのように熟成された老練のボクシング」が輝きを失うことはありませんでした。
そういえば、プロレスラー・総合格闘家の前田日明さんが「大山倍達もカール・ゴッチも35歳から45歳が全盛期だった」と言っていました(ゴング格闘技 94年3月号)。また、ビル・ロビンソンも「47歳のレスラーが33歳のレスラーを破ることは充分にありえる」という見解を述べていました(1976年のアントニオ猪木 柳澤健 文藝春秋 2007年3月)。ロビンソンはその理由を「テクニックと経験の差」と述べています。
リオデジャネイロ五輪開幕直後の金メダル有望種目・柔道の面白雑学。
他の格闘技では30歳代後半・40歳代の高年齢王者は頻繁に誕生
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