更新日:2022年10月06日 00:00
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都心に続々出店する“アンテナショップ居酒屋”。魅力は食材だけではなかった

 自治体公認の“アンテナショップ型”という居酒屋の業態が東京でにわかに流行っている。アンテナショップ型居酒屋は地方の自治体と連携協定を結び、その町から直送された新鮮な食材を扱っているのが特徴で、本来ならその土地でしか食べられない貴重な食材や郷土料理を食べることができる。

アンテナショップ居酒屋が増えた背景

 そのため、近年価格と内容ともにカジュアル化が進む日本人同士の接待シーンでも使いやすいというのが、これらの店の人気の一因となっているようだ。  また、地方の生産者たちにとっては、地元で埋もれがちな食材や郷土料理を都市部に住む人たちに食べてもらうことで、安定した供給先の確保や魅力の再発見、ブランド化にも繋がりやすいという地方創生的な一面もあるという。  そんな消費者と地方の自治体の双方に利益をもたらす自治体公認アンテナショップ型居酒屋。火付け役となったのは「北海道八雲町」「佐賀県三瀬村」など、全国的には無名な町や村の名をそのまま店名にした居酒屋を運営し、今年4月にテレビ番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)でも取り上げられた外食企業ファンファンクションだ。  日刊SPA!取材班は9月の平日、日本橋の「北海道八雲町 三越前店」を訪れた。  17時のオープン直後こそ記者一人だったものの、間も無く客の流れがやってきて、店内はすぐに満席に。予約の電話も18時から10~15分に1本かかってくるほど盛況な様子。スタッフによれば、「金・土は19時くらいで満席になり閉店までに3回転することもある」とのことで、その人気ぶりが伺える。常連のお客さんも多いそうだ。

太平洋と日本海に面し、北海道でも有数の酪農地帯である北海道八雲町。海の幸や山の幸を豊富に取り揃えている。写真はチャンチャン焼き(890円)

 ファンファンクションに続くのが、ダイヤモンドダイニンググループのゴールデンマジックという、北海道や青森のご当地居酒屋や大衆酒場を多く手がけている会社。今年2月に「五島人 西新宿店」をオープンすると、わずか4カ月で浜松町や神保町など都内4店舗への出店を果たした。  黒潮と対馬海流の分岐点である五島列島の鮮魚をはじめ、「五島豚」「五島牛」など島の食材の味わいを楽しめる炉端焼きを提供している「五島人」。西新宿店は全席個室で、より接待向きの落ち着いた雰囲気が漂っている。

オーダーを受けてからスライスするという「五島豚」のアゴ出汁しゃぶしゃぶ。アゴ出汁(500円)

 さらに、今年7月には神戸三宮駅周辺を中心に店舗を拡大している「土佐清水ワールド」が5店舗目にして東京に初進出を果たした。産地直送の「藁焼きかつおのたたき」や「清水サバ」、香り豊かな宗田節を使った料理が楽しめる。足が速いサバは生きたまま送られてくるとか。
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アンテナショップ居酒屋は客層が違っていた
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii

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