「年下上司」が語る! 年上の部下へのつきない気苦労
―[明日は我が身の[年上部下]の本音]―
年上部下への本音――年長者を使うということ
「年下上司」が語る! 年上の部下へのつきない気苦労
ここまで、「年上部下」たちの本音を聞いてきたが、彼らを日々、叱咤激励する「年下上司」にだって言いたいことは山ほどあるんです……
★青山恵子さん(仮名)
24歳・情報系。入社以来チームリーダーとして、常に10歳以上の技術者を統括。基本、「助けてください」と年上部下を持ち上げつつ、ときに厳しく叱るなどツンデレで指導
★倉岡一生さん(仮名)
27歳・IT企業。キャリア系SEのチームリーダー。職場では自分のデスクまで報告させるなど毅然としているが、飲み会では人生の先輩として彼らを敬い自ら下座に
★田口聡さん(仮名)
43歳・電気機器営業所長。社内で最年少の所長になり、当時、あらゆる方面から嫉妬やら嫌がらせを受ける。上司/部下の秩序にはこだわらず、風通しのよい職場作りを重視
田口 年上部下でも、難しいのは、年齢による昇進にこだわり、”年下が上司”という現実を受け入れられない人ですよね。
倉岡 柔軟性がない人は多いですね。IT系は職場ごとに色があって転職組とはギャップが生じやすいんですが、年上ほど『前の職場では~』と、譲りたがらない。
青山 ウチの場合は逆に、自信がない年上が多いんですよ。私が高めのハードルを課すと、『ちょっとできないかも……』と弱腰で。
倉岡 保守的な人いますよね。失敗経験があるのか、責任逃れや言い訳が多い。40そこそこで、年金の話したり、早くもゴールを探り出す。自分も年を取るとこうなるのかな、と不安になる(笑)。
青山 わかります! 心配になって、年下のコに「最近、どう?」って話しかけたり(笑)。
田口 ウチにも、放っておくと自分の反面教師になりそうな部下はいますよ。彼らは年を取っても昇進できていないことで、やる気の翼が折れているんだと思う。だからこそ、モチベーションを上げることを最重要視しています。例えば、30点しか能力がない人でも40点分頑張ってくれれば、職場にいい影響を与える。でも80点の人が60点の仕事しかしないと士気が下がる。だから守りに入らせないようにしてます。
青山 でも、そのモチベーションを上げるのが大変じゃないですか? 私は「どう思います?」と聞いて、相手に考えさせるようにしてますけど。自分が言ったことなら素直にできるから。
田口 一緒に頑張る姿勢は有効ですよね。私は、青写真を一緒に作ります。どうやって目標を達成すべきか。当然達成できたら褒めるし、お祝いもします。でも叱るときは容赦なく、強く叱りますよ。
倉岡 年上に強く叱ると再起不能に落ち込みがち。人格否定ととらえてしまう。傷つきやすいんですよね、彼らは。若いコは失敗をバネにしてくれるんですが。
田口 私は数字云々じゃなく、やれるのにやらなかった時などに叱る。そしてなぜそうしたのか、意欲が持てない原因は何かを掘り下げる。それも、2人だけだと相手が受け身に感じたり、僕自身が結論を持っていたりするので、3~4人で話し合う。やはり上司と部下の壁を取っ払って、何でも話し合える関係じゃないと。
倉岡 すごいなあ……。田口さんのように情熱と理念があれば年上もついて来ますよね。
青山 むしろ、年上の方が、「働く意味」とか「やりがい」を重視する傾向がありますよね。
田口 背中を見せることは大事。だから私は、働いている時間も部下より長いし、彼らが嫌がる仕事もどんどんやる。あとモチベーションのスイッチを押すと思わぬいい仕事をしてくれることがあるので、会話からそのスイッチを探ります。私の仕事は、部下の意欲を上げて、成果を出すことですから。
青山 そうなんですよね。私たちの仕事は、この不況時に会社の利益をいかに上げるか。実は年上だとかに気を遣ってる場合じゃない。彼らも私たちのプレッシャーを知ったら、四の五の言ってられないと思うんですけど。
倉岡 僕も会社に「チャンスだから」なんて大義名分で、役職に就いたけど、正直言うと、もう少し、優秀な上司の下で学びたかった……と、愚痴を言えばきりがない(笑)。この苦労も、教材費と割り切るしかないんですよねえ。
◆「処方箋4」 大丈夫。大丈夫。
― 明日は我が身の[年上部下]の本音【9】 ―
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