エステ業界の女性が明かすブラックぶり。月7万円の商品を自腹で買ったことも
いまの職場に嫌気がさして、転職したいと思ったことはあるだろうか?
総務省統計局の平成29年「労働力調査」によると、2017年の転職者は311万人と、ここ5年間で24万人増えている。年齢別に見ると、25~34歳が79万人と最も多く、転職者全体の4分の1を占める。そんなアラサー世代の、悲喜こもごもな転職事例を取材した。
本記事で紹介するのは駒澤大学を卒業後、新卒で美容業界に飛び込んだ、及川ゆかりさん(仮名・29歳・神奈川県出身・満島ひかり似)の事例だ。
「もともと興味のあった美容業界を目指して化粧品や大手美容エステサロンなどにしぼって就活をしていました。何社か内定をもらいしましたが、わりと大手よりローカル志向というか、中小でも地域密着の方が私の趣味的には合っているかなと思い、本社が実家からも近かった会社に就職することにしました」
一都三県で店舗を展開する、社員数70人ほどの女性向けのエステサロンに新卒採用で入社。入社後は研修を経て、東京都多摩地方某市にある店舗へ事務職として配属された。
「月給は25万円。私は事務だったのでそれだけでしたが、実際に施術する人はさらに店舗の売り上げの5%のインセティブが発生していたみたいです」
額面だけで見れば初任給で25万円かなり魅力的なようにも思えるが。
「そもそもお店の営業時間が長くて。普通は早番・遅番とかあると思うんですけど、まったくなかった。出勤日は営業している間は基本ずっといる感じ。9~18時が定時でしたが、だいたい22時くらいまで働いていました。月23日は出勤だったので残業時間は90~100時間くらいの計算です。それなりに暇な時もありましたが、月末は、売り上げの締め日で施術する人も営業をかけるため、お客さんも増えてかなり忙しい。そういう時は朝から晩まで9連勤することも珍しくなくて、体力的にしんどかったです」
休みは他の店舗も掛け持ちしている主任というポジションの社員が、業務を代わってくれていたそうだが、基本的には売り上げの管理などの計算、シフト組み、商品の化粧品の在庫管理など、店舗運営のためのさまざまな事務を一手に担っていたという。
「代わりの人もいなくて、入社して半年経った後は事務の仕事をずっと一人で全部やっていたから、精神的につらいものがありました。風邪を引くと怒られるし……。社保はあったけど有給日数は教えてもらえず、ないものにされていたという状態で1日も使ったことない。説明すらされない。契約書もなかったので、みなし残業がどれくらい付いていたのか、いまだによくわかりません」
入社して3年半が経った頃、体調を崩して病院へ駆け込んだ。そこで倒れたのが直接の退職のきっかけになったという。美容部員にもかかわらず、やめたときは心身共にボロボロのは皮肉な話だ。
朝から晩まで9連勤は当たり前
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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