「日本人がリッチになれない5つの理由」 シンガポール富裕層と徹底比較
アジアの金融センターと言われ、世界中から富裕層が集まっているシンガポール。香港とともに、金融資産1億ドル(約110億円)を超える「超富裕層世帯」の割合が多い。世界中から富裕層が集まり、普通の会社員でも給料の上限のないシンガポールではバブル期の日本のような上昇気運がある。
ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏は、夫の仕事で当地に住み、先日『シンガポールで見た日本の未来理想図』を上梓した。シンガポールの富裕層と比べて、「日本人がリッチになれない5つの理由」を花輪氏が指摘する(以下、花輪氏の寄稿)。
日本ではお金の話をすることはハシタナイことだと教えられる。その結果、家庭でお金のことを一切教えられずに、大学生になって初めて奨学金やクレジットカードで借金を抱え、破産をしてしまうこともある。また、業種や会社による給料の違いなどを話すことはタブーとされており、お金に疎(うと)くなってしまうのだ。
他方で特に中華系シンガポーリアンはお金の話が大好きだ。「それいくら?どこで買ったの?」「どこに住んでいるの?買ったの?借りているの?」など、ストレートなお金の話をどんどんする。全く悪気はなく、ただ強い興味関心を持って聞いてくるので憎めないのだが、お金の情報を共有することによって詐欺や高値でつかまされるということを排除する効果がある。
「私●歳でこのポジションなんだけど、これって普通?」などといった給料に絡む情報共有までし、少しでも条件がよい就職先があると(たとえ月数千円程度の上昇だったとしても)すぐに転職をする。営業職の場合、自分が売り上げた分のコミッションは無限に入る場合もあって、年1億以上稼いでいる営業マンも中にはいるのだ。会社員でも天井がないのである。
「なぜ、もっと上を目指さない?」「なぜ、自分にブレーキをかける?」「なぜ、こんないい条件なのにやらない?」とシンガポールで成功をしている人に話を聞くと、現状維持では先はないと痛感させられる。
シンガポールでは20-40代の8割程度の女性が労働市場にいる。女性が結婚・出産・育児のために労働市場からいったん退出する、いわゆる「M字カーブ」現象はシンガポールでは見られず、保育園や外国人ヘルパーに子供を預けて働いた方が経済的にトクとシンプルに考えているのだ。
3食外食という人もいるほど外食文化で、作り置きするヒマがあったら外食をするかデリバリーをして働く人が多い。フードコートなどで安価な食事が購入できるために、自分の時給を考えると買った方がトクだと考えるのだろう。フードコートやコーヒーショップで食べた後の片付けも店員の仕事なのでやらない。
家事育児の大部分をアウトソーシングすることによって、女性も働くことを選択しているのだ。年収500万円の人が40年間働き続ければ退職金などを入れずに単純計算でも2億円になる。専業主婦をするよりも経済的にトクと割り切って考えるのだろう。
シンガポールにいると、セントーサコーブと言われる不動産価格が数十億円する自宅に住んでいる人や、オーチャードと言われる一等地の商業施設に住んでいる人もたくさんいて、資産数千億円を持っているというような人にも会う。
けれどそういった富裕層は驚くほどケチな場合も多く、“金融体脂肪率”ゼロなのだ。ムダな贅肉(ぜいにく)のようなどうでもいい支出はせず、実のあることだけに使う。「ケチだから貯まる!」とはこのことだと痛感することが実に多いのだ。
例えば、出かける際には必ず水筒持参、準備を整えてから出かけるのでコンビニに寄ったりはしないなど。お金の使い方は人柄をよく表すもので、絵画や船舶といった資産価値のあるものにはお金をかける一方、交際費は分かりにくいところで徹底的にケチるという人もいる。
1.日本人がハシタナイと思う「お金の話」、シンガポール人は大好物
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3.日本人はなんとなく支出し、シンガポール人は金融体脂肪率ゼロ
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