更新日:2019年10月25日 13:35
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耳掃除しすぎでカビが生えて難聴に…実はヤバい難聴の原因6つ/医師監修

 体調不良のちょっとやそっと、中年だからと放置しているといつしか大病に直結する。しかも、中にはとてつもなく凶悪な病に発展していたというケースも! そんな、中年が油断しているとシャレにならない病気のなかから「難聴」を紹介。
難聴

実はヤバい耳の病気とは?

難聴 ストレス、大音量、耳掃除に潜む「難聴」の恐怖

「難聴」というと耳の遠い老人を想像しがちだが、実は30~40代でも発症のリスクは潜んでいる。一度発症すると完治は難しいという難聴について、耳の病気を専門とする井上泰宏氏に話を聞いた。  代表的なのは次の3タイプだ。

①突発性難聴

 携帯電話の音が急に小さく聞こえるようになった、耳が塞がった感じがする、ピー、ザーといった耳鳴りが始まったといった自覚症状。程度が強いと、嘔気・嘔吐を伴う激しいめまいを生じることも。このタイプは通常は一生に一度しか発症しないという特徴を持つ。  原因は解明されていないが内耳(聞こえのセンサー)の循環障害やウイルス感染のほか、強いストレスや疲労が発症の引き金になる場合も。大抵は副腎皮質ステロイドなどによる治療を行うが完治率は30%程度と低い。  早期治療が望ましいとされるが、治療が早くても必ずしも治るというわけではない。治らない場合は、高齢者の難聴が早く生じたのと同じことになる。片側の耳に生じることが多いが、まれに両側に生じることもある。

②低音障害型感音難聴(蝸牛型メニエール病)

 過度のストレスや疲労によって難聴、耳閉感、耳鳴りを急に発症する疾患だが、難聴が低周波数領域を中心に生じること、症状が繰り返すことが多いこと、治療による改善率が60%程度と比較的高いことが特徴。  治療の中心はビタミン剤や循環改善剤などによる薬物治療。ただし生活のリズムが整わないと再発を繰り返し、徐々に治療に反応しなくなるのみならず、高周波数領域の聴力も悪化していく場合がある。

③音響外傷および騒音性難聴

 一定以上の大きさの音を8時間以上、5~10年間繰り返し聞くことで難聴が発症、進行する。騒音の大きい職場で働くことのほか、ヘッドホンなどで大音量の音楽を長時間聴き続けることなどが主な原因。騒音環境から離脱すれば進行は防げるが、生じてしまった難聴の改善は困難。主に高周波領域に難聴が生じるため、体温計など電子機器のアラーム音が聞こえなくなる、常に高い音の耳鳴りがするといった症状が続いてしまう。 =====  このように難聴は、一度発症すると完治が困難で、最悪の場合は若くして補聴器を使用しなければならないこともあるが、それが逆に「増幅された音が響いてツラい」という状況をつくり上げてしまうこともある難しい病気なのだ。

耳掃除のしすぎで耳にカビが生えて難聴になることも

 他にもおたふくかぜ、髄膜炎、結核、抗がん剤の使用、頭痛薬のアスピリンや高血圧治療薬などの使用によっても一過性の難聴が発症することが知られている。  おたふくかぜを生じるムンプスウイルスにより片側の聴力が完全に失われた後、残ったほうの耳に難聴と目まいの発作が生じてくる場合がある。これを遅発性内リンパ水腫といい、難病の一つとなっている。また、結核の治療薬として使用されるストレプトマイシンによる副作用も難聴を誘発する原因となりうる。  そして、意外なのは綿棒の使用で起こるケースだ。 「日頃から綿棒で耳掃除をしていると耳垢を耳の奥に押し固めてしまうことで難聴が起きてしまう。また耳がかゆくて綿棒で頻繁にこすることで耳の皮膚をかき壊し、そこから浸出液が出てじくじくと湿り、カビが増殖することで難聴を生じることも。一度カビに感染すると、手足の水虫のように治りにくくなってしまいます」 ※「真菌症」……綿棒で耳垢を押し込んだ箇所が湿ってカビが生え、難聴に陥る。耳掃除をしたつもりになっている人に多い
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「真菌症」

 耳掃除以外にも、イヤモニ・インカムを使用する仕事、イヤホンでよく音楽を聴く人も耳の皮膚を傷つけてしまう可能性があるので注意が必要。

<難聴に関連する病の種類>

▼突発性難聴……名の通り、急に難聴を発症する疾患。強いストレスや疲労が引き金になるといわれる。嘔吐やめまいを生じることも ▼低音障害型感音難聴……難聴、耳閉感、耳鳴りを急に発症する疾患。再発を繰り返すことも多く、高周波数領域の聴力が悪化 ▼騒音性難聴……音楽を爆音で聴きすぎることで生じる。一過性のものもあるが、騒音環境にいる生活を繰り返した結果5~10年後に発症することも ▼滲出性中耳炎……中耳の圧力調整をしている耳管の不調により、中耳腔に水が溜まる。再発を繰り返す場合は咽頭がんの可能性も ▼耳垢塞栓……耳垢が詰まることによる難聴。耳垢が軟らかい人は、耳掃除の際に綿棒で耳垢を奥で押し固めてしまっている場合が多い ▼外耳道湿疹に伴う真菌症……耳の穴の皮膚を掻きすぎた結果、浸出液がしみ出し高湿度になったところにカビが侵入する疾患。難聴を伴う。水虫同様治りにくい
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難聴でコミュニケーション障害が起きる!?
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