テレビ業界人が「これだけは見る」1月クールドラマは?
新しい年の始まりとともに、各局で1月クールのドラマがスタート。昨年は『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』『あなたの番です』(ともに日本テレビ系)、『きのう何食べた?』(テレビ東京系)などの挑戦的な作品がヒットしたほか、『凪のお暇』(TBS系)、『いだてん』(NHK)のような視聴率こそ振るわなかったもののコアな視聴者層に刺さる作品が話題に。
まずはプロデューサー陣に冬ドラマのおススメ作品を聞いてみた。キー局で深夜ドラマなどを手掛けている20代の若手プロデューサーはこう語る。
「一つに絞るのは難しいですねぇ。期待しているのは『恋はつづくよどこまでも』(TBS系、火曜午後10時~)です。『君の名は。』で知られる上白石萌音さん扮する新米ナースと佐藤健さん演じるドSドクターとの“超ツンデレ”ラブストーリーなのですが、ただの恋愛モノとは違うんです。佐藤さん演じる天堂の異名がなんと“魔王”で、予告CMでは『身の程を知れ、岩石!』というとんでもない罵声を浴びせていましたから、そのドSっぷりはドラマ史上イチではないかと(笑)。
また、生死と向き合う循環器内科が舞台になっているので、医療ドラマとしても見ごたえがありそうですし、名プロデューサーの磯山晶さんならではの新しい試みもありそう。トータルで、家族で安心して見られるドラマになると思います」
現場ひとすじの制作会社ディレクターB氏は、別のTBSドラマを挙げてくれた。
「正月スペシャルドラマがどれも水準が高かったTBSドラマは注目かと思います。その中でも、重厚なミステリーを描く『テセウスの船』(日曜午後9時~)はチェックしようと思っています。正直、4月クールに『半沢直樹』の第2弾が控えていることもあってこのドラマは若いスタッフを中心に作っており、言い方はよくないですが“手を抜いている”枠なんですよ……。
それでも携わっているスタッフは「まだ根付いていないミステリードラマを絶対ヒットさせよう!」と意欲をむき出しにしていて、骨太なストーリーで演出も素晴らしい出来だとウワサになっています。局内で“下町ロケット”的な結束が生まれたみたいです(笑)」
また、テレビドラマを中心に活躍する脚本家2名にも見たい作品を聞いた。まずはミステリーに強い脚本家A氏。
「考察が話題になった日本テレビの日曜夜枠ですが、『ニッポンノワール ―刑事Yの反乱―』が振るわなかったこともあり、『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』(日本テレビ系、日曜午後10時30分~)もやや不安です。驚異的な身体能力を持つ男女が世の中の事件を解決していくという内容らしいですが、『3年A組』『あな番』のように学園やマンションといった小さな空間の物語だからこそ、リアリティーのある怖さが伝わったのだと思うので……。『シロでも~』が飽きられてしまうと、この枠のイイ流れが消えてしまう可能性もありますよね。
ちなみに、私が絶対見ようと思っているのは『10の秘密』(フジテレビ系、火曜午後10時~)。向井理さん演じる主人公が元妻の秘密を少しずつ知っていき……という構成は、海外ドラマのヒット要素をうまく踏襲しているストーリーになっているはず。海外ドラマのリメイクやオマージュはフジが一番上手だし、見たいと思わせるモノが多いので注目です」
続いては、20代の新進気鋭の女性脚本家C氏。彼女は悩んだ末に1作を挙げた。
また、『ノーサイド・ゲーム』『グランメゾン東京』(ともにTBS系)といった重厚なドラマも相変わらず注目を集めた。それでは、五輪イヤーでもある1月クールドラマは一体どんな作品が注目を集めているのか? 業界関係者たちに、どれだけ忙しくても「これだけは見る!」というドラマを、あえて1作のみ挙げてもらった。
胸キュンモノに重厚なミステリー “ドラマのTBS”が本領発揮
「あな番」枠は存続の危機も? 注目はフジの『10の秘密』
「クセのあるお仕事ドラマになりそうな『知らなくていいコト』(日本テレビ系、水曜午後10時~)です。週刊誌記者の話はありきたりですが、吉高由里子さん演じる主人公自身にスクープが隠されているという設定は新しいですし、『家売るオンナ』シリーズで仕事モノを軽妙に描いた大石静さんの脚本も相変わらず冴えわたっていたので、2話以降も見たいと思ってます!」
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テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
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