更新日:2020年03月12日 11:02
恋愛・結婚

1兆円市場となった婚活産業。独身者の情報がデータベース化…

―[婚活産業の裏側]―
 晩婚化・少子高齢化の影響や、マッチングアプリの急増で、婚活産業が大きな注目を集めている。巨大ビジネスの躍進の原動力は何か。知られざる業界の裏事情に迫る!
婚活産業の裏側

※写真はイメージ(以下同)

20代が増加、マッチングアプリが牽引する婚活業界

 婚活といえば、ひと昔前までは一部の「結婚できない人」が利用するサービスというイメージが強かったが、近年ではそうした風潮が大きく変化し、一大産業として急成長を遂げている。20~50代の未婚男女は全国に約1984万人おり(’15年度国勢調査)、潜在市場は計り知れない。  婚活産業としては、既存の結婚相談所や、婚活パーティなどが有名だが、近年はマッチングアプリの隆盛が著しく、その潜在市場規模は1兆円とも言われている(IBJ 2018年12月期決算資料より)。  マッチングアプリが牽引する婚活業界について、大手相談所・エン婚活エージェントの代表取締役・間宮亮太氏は次のように語る。 「マッチングアプリの利用率が高まっており、20代~30代前半の利用者が増えています。その流れは結婚相談所にもプラスの影響を与えており、『アプリから相談所への乗り換え』需要が非常に増えています。新規入会者の約30%が乗り換えですね。より真剣な出会いを求める方は、結婚相談所のほうが、アプリよりも効率的にいい人と出会えるというのが要因です」 婚活産業の裏側 同じく「相談所に来る20代が増えた」と言うのは、婚活情報サイト運営を手がける有薗隼人氏だ。 「今の若い女性は『25歳か28歳で結婚しないとヤバい』という認識です。日本経済がシュリンクするなか、年収の安定した正社員を早めに見つけて出産し、30歳すぎで仕事に復帰しダブルインカムで家庭をつくる以外の選択肢が彼女たちにない。大学を『結婚相手を探す場』と見ているコも多いです」  理想の相手に関しても、今では“三高”よりも“三平”(平均的な年収・平凡な外見・平穏な性格)で家事を積極的に手伝ってくれる男性が人気だという。  若者だけではない。最近では子持ちシングルや高齢者の利用も増えている。老舗の結婚相談所・ハッピーカムカム代表の峰尾晋一氏は言う。 「相談所が増えるに従い、他との差別化が必要になった。結果、『シニア限定』や『再婚限定』などと細分化していったのです。相談所の細分化が利用者の多様化に繋がっています」  実際、相談所ではかつては不利とされていた条件でも成婚できるケースが増えている。 「最近でも、子持ちのバツ2の50代男性が相談所で知り合った30代の女性とゴールインしたケースがありました。男性は『子供とどう接してくれるか』を重要視しており、親身になって相談所が探してくれたのです」(有薗氏)  ある大手相談所に登録されていた最高齢男性は90歳、女性は87歳だった。高齢者に関しては配偶者が死別したあと、終のパートナーを探す男女が増えているのだ。

会員にサクラはいる?

 一方でユーザーにとって気になるのは「会員にサクラがいるか」という点だろう。有薗氏は言う。 「サクラは恋活系のほうにはいますが、婚活系マッチングアプリはほとんどいないと思います。相談所に関しては中小では実際にサクラのアルバイトが存在します。相談所ごとに成婚の定義が『交際3か月』『2人だけで旅行に行く』と違うので、それをクリアした瞬間に退会するパターンも実在します。一方、大手の加盟店は上場、もしくは親会社が上場しているのでリスクが大きすぎてサクラを雇うことはまずない」  ただし、都内で結婚相談所を経営するAさんによるとサクラ以上に注意すべき人物がいるという。 「マルチ勧誘目的と後妻業の女性たちです。前者はマッチングアプリに多く、年収やルックスが中の下クラスの男性を狙う。美人なので男性にしてみれば『なぜ自分に?』と思いつつ、デートすると勧誘される。後者は50~60代で、終のパートナーを求める70代の男性に死後の財産目当てで猛アタックするので悪質です」  ユーザーが増えると、こうしたトラブルも起きてくるようだ。
次のページ
SNSをチェックし、成婚料逃れを防ぐ
1
2
[婚活ビジネス]急成長のカラクリ

2000万人の独身男女が集まる1兆円市場の裏側とは?

おすすめ記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ