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「中国人客減った」都内ホテルマンの証言

 中国・湖北省武漢市が発生源とされている新型コロナウイルスの感染拡大が続く中国では、患者の数が2万人を突破。死者は425人にのぼるという。その数は、2003年に猛威をふるった重症急性呼吸器症候群(SARS)を上回る。中国では、国内外への団体ツアーを禁止するなどの措置がとられた。当然、日本国内においてもインバウンドへの影響が見られる。東京都内のホテルに勤める坂本さん(仮名)が話す。 「これまでは部屋の稼働率が100%近くだったのに、現在は70%程度。通常1万円の部屋を7000円に下げてもこれです。私はここに勤めて5年になりますが、ここまで落ち込むのは初めてです」(坂本さん、以下同)

「中国客減った」都内ホテルマンの証言

ホテル

※画像はイメージです(以下同)

 坂本さんは現在勤めるホテルのほか、ホテルマン歴が長いのだが、こんなことはかつてあったのだろうか? 「2010年に尖閣諸島付近で日本の海上保安船と中国漁船がぶつかった時、国際問題に発展してキャンセルが相次ぎました。それ以来でしょうか」  ホテルの客層は9割が外国人、残り1割が日本人。外国人の多くは中国大陸からの客だった。しかし、「今回の件で中国からの団体客は全てキャンセルになりました」。坂本さんは「それでも個人客は来ていますが……」と続けるが、武漢からの客は来たのか。 「渡航制限がかかる1月27日頃に1人来ました。その時はホテルマンとしてごく当たり前に、特別なことはせずに接客しましたよ」  感染症の予防にかんしてデマや憶測も広がっているが、実際にホテル側で対策などはとられているのか。 「ホテルでは手指の消毒用にエタノールを常備しています。そして、マスクは会社で支給されていますが、『フロントでのマスク着用は、接客が短時間なので濃厚接触に当たらない』と、上からのお達しで禁止されています」
マスク

現在、コンビニやドラッグストアではマスクの在庫不足が続いている

 大手ホテルチェーンなどではスタッフのマスク着用をアナウンスするところも増えてきた。しかし坂本さんのホテルでは、フロントではマスクを着用することができないという。現在も中国からの個人旅行者が訪れるなか、スタッフたちは連日の報道で不安にならないのだろうか。 「他よりも感染リスクの高い職場かもしれませんが、常にフロント周りを消毒するなど、できる限りのことをやっています。この職場は中国、香港、韓国、ミャンマー、タイ人のスタッフがいて、日本人も二人が海外在住経験者です。だから、あまり日本の報道を気にしないというか、意外と冷静ですね。『マスクをフロントで着用したい』と会社に文句を言う人もいません。とにかく、この騒ぎが早く終わって、中国からお客さんが帰ってくるのを待っていますよ」  一刻も早く事態が終息にむかうことを願う。<取材・文/浜カツトシ>
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