春はまさに異動・引っ越しシーズン真っ盛り。忙しさに紛れ、つい忘れがちなのが児童手当や障害手当などの各種福祉サービスの申請だ。
3月6日に発売された漫画エッセイ『
うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』では、息子である「ぽんちゃん」に障害の診断が下されてショックを受ける著者・
吉田可奈さんに、「腹をくくって、給付される各種手当を子どものために徹底活用すべき」と友人が熱弁をふるう。
「何が何でも我が子を幸せにする!」と心に決めた吉田さんは、各種の手当について勉強し、割引などのサービスを利用して子どもたちのためにアクティブに行動する。
本書では発達障害・知的障害の子との日常がよくわかる漫画やエッセイのほか、国や自治体が実施している障害者のための各種福祉サービスについても解説している。本記事ではその一部を抜粋して紹介しよう。
国による給付のほか、各自治体が独自に実施しているものもある
国や自治体は障害児や障害者、その家族の暮らしにおける負担を減らすために、国や自治体はさまざまな福祉手当を支給している。どれも住民からの申請によって支給されるので、詳しい内容や申請方法を居住地の市区町村に確認する必要がある。
●国が支給する各種手当
国が支給する福祉手当には、「特別児童扶養手当」や「障害児福祉手当」のほか、20歳以上の者が対象の「特別障害者手当」などがある。法律に基づくものなので、対象要件や支給月額などは全国で同じだが、受給者や保護者の前年の所得が一定の額以上である場合は支給されないので、申請の際は注意を要する。
●各自治体が支給する福祉手当
「在宅心身障害者手当」「在宅重度障碍者手当」「心身障害者福祉手当」など、各自治体で行っている福祉手当もある。国が行う福祉手当に金額を上乗せする制度を設けている自治体もあるので、それらも含め市区町村の窓口に問い合わせるとよい。
●そのほかの公的援助
障害児が特別支援学校や特別支援学級等で学ぶ際に、通学費、給食費、教科書費、学用品費、修学旅行費などの教育関連経費が補助される「特別支援教育就学奨励費」や、医療費の自己負担額が軽減される「自立支援医療制度」など、国や各自治体による補助はほかにもある。受給対象となるものを見落とさないよう、各組織のサイトをチェックし、不安な場合には直接窓口に相談するのがおすすめだ。
こうした障害者福祉制度によるさまざまな公的援助を受けるためには、一定のハンディキャップがあることを証明する「障害者手帳」の取得が必須となる。経済面での支援により活動の幅が広がるうえ、将来の教育や就労にも役立つので最優先で手続きをしたい。
障害者手帳は身体・知的・精神の障害ごとに3つに分かれており、知的障害児は「療育手帳」の取得が可能。発達障害児は知的な障害のある場合は「療育手帳」を、知的な障害の目立たない場合は交付基準に該当することで「精神障害者保険福祉手帳」を取得できる。
●療育手帳を取得するまでの流れ
療育手帳は都道府県や政令指定都市によって申請の手順が違うため、まずは市区町村の障害福祉の窓口に相談をしたい。18歳未満の場合、知能テストや観察といった判定を児童相談所が行い、障害の程度や手帳交付の必要性を総合的に判断し、その結果により交付される。18歳未満で発症し知能指数が70以下であることが交付基準の目安になる。
●精神障害者保健福祉手帳を取得するまでの流れ
市区町村の担当窓口で「交付申請書」「所定の診断書用紙」を受け取り、病院で診断書を作成してもらい窓口に申請すれば、都道府県の手帳等検討委員会が判定をして交付が決定する。精神障害者保健福祉手帳の等級は3 段階あり、利用できるサービスが異なるので、各地域の支援センターでアドバイスを受けるのがおすすめだ。
●障害者手帳で受けられる主なサービス
障害者手帳を取得していると、申請や呈示によって各種手当や医療費の助成、減税や減免、交通機関や施設での割引などが受けられる。手帳の種類や等級によっては該当しないサービスもあるので、申請や呈示の際に必ず条件等を確認したい。
<取材・文/日刊SPA!取材班>