星野源に便乗した安倍首相、炎上の根にある“文化レベルが低い首相”問題
いま、SNSで広がりを見せている、星野源(39)の動画「うちで踊ろう」。外出自粛を余儀なくされ、人と人との接触が制限されるなか、ネット上でのセッションを呼びかけたこの試みに、多くの著名人が賛同するムーブメントになっている。
今回、安倍首相が星野源に乗っかった背景には、小池百合子都知事(67)とHIKAKIN(30)とのコラボ動画が好評を博したため、対抗意識を燃やしたのではないかと見る向きもある。
小池知事が感染防止を啓発するためにHIKAKINの人気を借りたのに対して、安倍総理は外出自粛を訴えるために星野源を利用した、という構図だ。
そこまではよかったのだが、現在の社会情勢とはあまりにかけ離れたリラックスした姿が、国民の神経を逆なでしてしまったことが誤算だった。少なくとも、多くの国民にそう見えてしまう可能性を、全く予想できなかったことについて、国民は“空気が読めない”と批判しているのだろう。
もっとも、政治家が著名人を“政治利用”して人気取りすることは、別に悪いことではない。問題は、そうした策略にある程度の説得力を与えられるかどうかだ。その点、安倍総理と星野源の組み合わせは、かなりスジが悪かったと言わざるを得ない。
なぜなら、安倍総理には、ほとんど文化や教養の匂いがしないからである。これほどまでに無趣味な宰相は、いまだかつて存在しなかったのではないだろうか。
たとえば、筆者は安倍首相がどのような音楽を好むか知らない。何かのコンサートで、南こうせつ(71)と「あの素晴らしい愛をもう一度」をデュエットしたことはあっても、パフォーマンスに過ぎない。
読んだ本の情報も限られている。2018年12月29日に休暇入りした際、購入した3冊は、「日本国紀」(百田尚樹)、「信長の原理」(垣根涼介)、「全体主義と闘った男 河井栄次郎」(湯浅博)だったという。
「映画好き」を自称する安倍首相が観た作品リストはどうか。「決算!忠臣蔵」「記憶にございません!」「ボヘミアン・ラプソディ」「こんな夜更けにバナナかよ」「ウィンストン・チャーチル」「嘘八百」「オリエント急行殺人事件」「DESTENY 鎌倉ものがたり」。これが、新聞各紙の首相動静(2017年末~2020年)で安倍首相が観たと公表された全映画である。
半数以上は、昭恵夫人(57)や母親の洋子氏(91)らと、六本木ヒルズのシネコンで鑑賞している。率直に言って、学生のデート以下だ。
もちろん個々の本や映画が良い・悪いではなく、全体としての審美眼の問題である。
つまり、普段の生活において、何一つ文化や芸術への理解を示してこなかった門外漢に、いきなり土足で踏み込まれた感覚。これが、安倍首相の「うちで踊ろう」炎上の根っこにあるのではないだろうか。
ところが、この盛り上がりに水を差す事態が生じた。3月12日、安倍晋三首相(65)が、星野源の曲に乗せて自宅で犬とたわむれる優雅な動画を投稿したところ、ネットユーザーから、「こんなに空気が読めないとは……」とか、「フィリピンのドゥテルテ大統領と国会議員は、1ヵ月分の給料を全額コロナ対策に寄付したというのに」などと、批判が殺到してしまったのである。
ブラック企業問題などに詳しい、社会福祉士で聖学院大学客員准教授の藤田孝典氏(38)は、「フランスなら第2のフランス革命が起こる異常なレベルだよ」とまでツイートし、総理の目論見は、無残にも砕け散った。
安倍首相は、文化教養の匂いがほとんどしない
音楽、本、映画……安倍首相の好みとは?
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