仕事

30代で音楽業界に転職した男性の後悔「かけ離れた現実」

新型コロナの感染拡大から約1年がたつも収束の気配はなく、日ごとに増える倒産、経営悪化、リストラのニュース。「泥舟から逃げ出さなくては!」と焦燥感は募るが、今、転職するとどうなるのか? 憧れの音楽業界に転職したものの、年収減と理不尽な待遇に悩んでいるという男性を取材した。

憧れの音楽業界に転職も入社直後に「辞めたい」

コロナ転職

横田弘明さん(仮名・36歳)

「コロナで大打撃」との印象が強い音楽業界。しかし、「実は配信コンテンツの業績はそこまで落ちていない」と聞いたことが横田弘明さん(仮名・36歳)の人生の歯車を狂わせた。 「当時、流通系の会社で年収400万円。妻と小さい子供がいて、もう少しお金が欲しかったし、もともと音楽業界に憧れもありました。  だから、『これから配信はもっと伸びるはずだし、むしろ、今が業界に入り込むチャンス!』と転職に踏み切ったのです」  昨年秋から転職活動を始めると、正社員での転職先がすぐに決まり、意気揚々と入社したが……。 「すでに辞めたい自分がいます。まず、内定時は正社員採用だったのに、いきなりグループ会社への出向を命じられて契約社員に。コロナで案件が大量に飛んだのが原因らしいのですが、正式な契約を結ぶ前だったので泣き寝入りです。  さらに、出向に伴って制作、デジタル、渉外など、あらゆる仕事の下っ端を兼務させられる。しかも、ろくに指導もされず、断片的な雑務だけで、まったく仕事が身につかない。アーティストのマネジメントがやりたかったのに、かけ離れた現実が待っていました」
コロナ転職

やる気満々で職場の近くに引っ越したが、結局、部屋が狭くなっただけで生活も仕事も苦しむ現実に直面

年収も下がり、杜撰なコロナ対策で不安な日々

 年収も前職から下がり360万円になり、当初の思惑とのギャップにストレスが溜まる日々。さらに、コロナ対策の杜撰さにも驚いたという。 「基本的に毎日出社するのですが、オフィスは狭く、常に人が密集していて、なぜかマスクをしていない人すらいる。MVの撮影現場では20~30人が集まり、ロケ弁に用意されたお茶は経費削減のためペットボトルで、いろんな人がべたべた触っている状態。  ロケバスも予算削減でぎゅうぎゅう詰め。月に何回も現場に出るのが恐怖でしかありません」
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パワハラは当たり前
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