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サラリーマンはいつ会社を見限る?2位「『ジョブ型』とか言い始めたとき」

―[会社の辞めどき]―
がむしゃらに走ってきた会社員人生もふと立ち止まってみると、先が見え「このままでいいのか」と思うもの。しがみつく、見限る、辞める……働き方が多様化する時代、会社員に与えられた選択肢も多い。一体中高年はどんなときに会社を見限るのか?

1位は「報酬が上がらなくなったとき」

会社の辞めどき

イラスト/Kucci

 会社を見限った経験のある45~55歳の会社員500人にアンケートで「会社の見限りどき」について聞いたところ、1位は「報酬が上がらなくなったとき」に。4位の「生活レベルがまったく上がらないとき」と合わせると、給与や報酬に関する不満が、従業員のモチベーションに大きな影を落とすことが窺える。 「40〜50代が新人だった頃と比べて、会社の体力は落ち、もはや人一人の人生を抱え込むだけの余裕が企業に残っていないのが実情です。こちら側も会社に過度な依存をせず、自分の人生を考え直すことが重要」(コンサルタント・安達裕哉氏)  一方、パーソル総合研究所上席主任研究員の小林祐児氏は「3位にランクインした“ハラスメント”のような人間関係に起因する不満は、会社を見限る決定打となりやすい」との見解を示す。 「繰り返しになりますが、パーソルの調査でも、ハラスメントや高圧的な言動は従業員の気持ちに影響する大きな要因となることがわかっています。給与への不満などに積み重なることで、会社を見限る意思が強固になっていくのです」

突然流行りの人事用語を使い始めた会社も要注意

 人間関係や職場環境に起因するような不満は3位以外にも、5位や7位など複数入っている。さらに、「社内監視がキツいような会社も、問題が起こりやすいので、見限りどきとして考えていい」という安達氏からのアドバイスも。 「突然はやりの人事用語を使い始めた会社なんかも見限りどきとして注意信号です。特に“ウチがジョブ型?”のように違和感しかないような施策は、“中間層を減らしたい”という経営の思惑が見え隠れしますね」(組織人事コンサルタント・曽和利光氏)  人事制度改革を隠れ蓑にした肩叩きは、今後も横行する可能性が高い。ランキングでは過重労働に起因する不満も登場するが、曽和氏いわく「いわば企業にとっての“成長痛”ということもあるので、業績が伸びている前提なら踏ん張りどころ」との見方も。 「ランキング外ですが、定番の見限りどきとして、同期や後輩に出世を超されたというのもあると思います。今は40代の3割しか課長になれない時代で、単純に自分の同期の3割が課長になった場合は“終わったな。席が埋まったな”と判断していいでしょう」  安達氏も「40代になっても課長代理の場合は、そこが終点だと思っていい」と付け加える。  ちなみに会社を見限った中高年が、転職活動を経て待遇が上がるケースは1割程度、一部の高スペを除けば、多くの人が良くて現状維持、むしろ待遇が下がるケースが圧倒的なのが実情だ。中高年サラリーマンを取り巻く環境は、行くも地獄、残るも地獄の様相だ。
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アンケート「会社の見限りどき」
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