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「仲間が恋しいソロキャンプ型」新入社員の増加が組織にもたらすもの

今年の新人は「仲間が恋しいソロキャンパー」!?

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写真はイメージです

 2021年の新入社員は、「仲間が恋しいソロキャンプタイプ」であると、産労総合研究所が発表した。就職活動の真っただ中で、就職イベントや選考が延期になったり、リモートでの選考に切り替わるなど、周囲とのコミュニケーション機会が限られる中、孤軍奮闘してきた。  人生の岐路に大きな環境変化に直面する中、新入社員に限らず20歳代の世代は、年々モチベーションファクターが変わってきているように思えてならない。  モチベーションファクターとは、意欲を高める要素で、チャレンジすることで意欲が上がる目標達成型、任されることで意欲が上がる自律裁量型、責任を果たすことで意欲が上がる地位権限型、協力することで意欲が上がる他者協調型、リスクを回避することで意欲が上がる安定保障型、バランスをとることで意欲が上がる公私調和型の6つに分けている。  私が実施しているビジネススキルを向上させるプログラムの参加者のデータをふまえると、日本のビジネスパーソンのモチベーションファクターは、この6つにだいたい均等に分布される。  目標達成、自律裁量、地位権限の強い人を牽引志向、他者協調、安定保障、公私調和の強い人を調和志向と呼んでいる。肉食系と草食系、狩猟型と農耕型というイメージだ。牽引志向と調和志向も、51.4%対48.6%というように、半々だ。  しかし、20代のビジネスパーソンや学生の人たちと演習する中で、年々、安定保障や公私調和が高まっているという肌感覚を覚えることが多い。これは、限られた標本数に基づくデータではあるが、数値でも明らかだ。

安定保障と公私調和の増加、地位権限と他者協調の減少

 ある企業の各層で演習プログラムを実施している。その中で、入社3年目のプログラム参加者のモチベーションファクターが、特徴的だ。安定保障と、公私調和が増加傾向になることがわかる。一方、地位権限と、他者協調は減少傾向だ。
企業Aの入社3年目社員

モチベーションファクター株式会社による演習成果数値測定結果(2018年から順に、N=30、12、18、30)

 一方、ある大学院の修士1年目、2年目を対象とした結果でも、安定保障と公私調和は増加傾向で、地位権限と他者協調は減少傾向にあり、企業の入社3年目社員と同一の傾向を示しているのだ。
大学院Bの修士学生

モチベーションファクター株式会社による演習成果数値測定結果(2018年から順に、N=28、34、29、22)

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リスク回避の反面、社会的責任意識の低下の兆し?
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(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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