仕事

「仲間が恋しいソロキャンプ型」新入社員の増加が組織にもたらすもの

組織や顧客とのモチベーションファクターのギャップ

 未曽有の環境変化に直面する中、リスク回避の安定保障のモチベーションファクターが高まっている。テレワークが常態化する中、いやがおうでも公私調和のモチベーションファクターが高まるという状況だ。  一方、他者とのコミュニケーション機会が限られる環境の中で、他者協調のモチベーションファクターが低下し、他者協調の意欲が高まらない状況を示している。  一般に、例えば、連携がままならないと他者協調の意欲が高まるというように、枯渇しているモチベーションファクターが高まる傾向にあるが、それが生じていないということは、他社との連携や協働についてもはや諦観をもっている状態と言えるのではないか。  地位権限が低下しているのは、公私調和の増大と対をなし、社会的な責任や役割を果たす意識の低下の兆しであると捉えられないか。これらのことに危惧を覚えてならない。

組織や顧客とのギャップが増大する危険性

 モチベーションファクターは良し悪しを示すものではない。成果を上げるためには、目標達成や地位権限の人のみならず、独自の方法で成果を上げる自律裁量の人も、協力し合いながら成果を上げる人も役割を果たす。  リスク回避の観点から成果を上げる安定保障の人も、さまざまな施策のバランスをとりながら成果を上げる公私調和の人も貢献するので、良し悪しではないという考えだ。  しかし、このまま放置しておくと、地滑り的に安定保障と公私調和が増大し、地位権限と他者協調の減少に歯止めが効かない事態を招きかねない。この状況は、安定保障や公私調和のタスクのみにフォーカスしている企業であれば問題は小さいと思えるかもしれないが、責任を果たす地位権限と連携する他者協調はほとんどのビジネスで必要不可欠の要素だ。  そして、日本のビジネスパーソン、ひいては顧客は、6つのモチベーションファクターに均等に分布しているという状況の中、未来の組織を担う3年目社員や、これから社会人になる学生のモチベーションファクターが大きく異なっていることが問題なのだ。この問題を解決する簡単で有効な方法を、次週、紹介したい。 <文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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