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「東京五輪は天皇から不信任決議」宮内庁長官“拝察”発言の真偽は?

皇室と五輪は切っても切れない関係?

西村泰彦

西村泰彦宮内庁長官(’19年12月17日撮影)。拝察発言が五輪中止を求める野党やマスコミに一面的に取り上げられないかを危惧する声も聞かれる 写真/時事通信社

 開催まで1か月を切った東京五輪。開催か中止かで国論が割れるなか、「陛下は五輪開催で感染拡大をご懸念」という西村泰彦宮内庁長官の拝察発言が各方面で波紋を広げている。  政府は火消しに躍起となり、菅義偉首相、加藤勝信官房長官は揃って「西村長官本人の見解」と主張するが……。 「長官が会見で個人的見解を述べることなどありえず、天皇陛下のお言葉とみていい。東京オリパラの名誉総裁で、開会を宣言される今上天皇は、感染拡大の懸念に言及しておく必要があったが、あれ以上のことは言えなかった」  こう語るのは、東京五輪を招致に導き、また『ミカドの肖像』『昭和23年冬の暗号』など天皇に関する著作を多く持つ、元東京都知事の猪瀬直樹氏だ。 「対米英戦争を決定した’41年9月6日の御前会議でも、昭和天皇は明治天皇の和歌を詠んだだけで具体的な発言はしていない。天皇が『決めないこと』で万世一系が維持されてきたのです」と続ける。  西村長官の発言は「皇室の政治利用」との批判もあるが、そもそも皇室と五輪は切っても切れない関係だという。 「’13年、僕が都知事のとき、五輪招致レースのライバルだったスペイン・マドリードの応援にフェリペ皇太子が参加すると、大変な人気だった。危機感を抱いた僕は宮内庁と粘り強く交渉し、ついに最終プレゼンで高円宮妃久子さまの登壇に繋がる。これが東京開催へと流れを変えた。IOC委員には欧州の王族や貴族が多く、日本の皇族がどれほど“聖性”なのかをよく理解しています」  しかし、現在は感染力の強いデルタ株による第5波も懸念され、五輪反対の声は依然として根強い。 「コロナ禍の不安や閉塞感に覆われるなか、東京五輪が格好のスケープゴートになってしまっているのだろう。ただ、’64年東京五輪も当初の支持率は低かった。五輪は祝祭空間。始まってみなければ、実感がわかないものです」  平和の祭典を巡る混乱はいつ収まるのだろうか。

米紙ワシントン・ポストは「天皇が不信任決議」報道

 米有力紙ワシントン・ポストが「東京五輪は天皇から不信任決議」と報道するなど、西村長官の「拝察」は海外メディアにも反響が広がっている。 「『天皇は五輪開催に反対している』という論調で報じるメディアもあるが、西村長官の会見全文を精読すれば五輪開催の是非については一切触れておらず、明らかにミスリードです」(猪瀬氏) 取材・文/週刊SPA!編集部 ※週刊SPA!6月29日発売号より
週刊SPA!7/6号(6/29発売)

表紙の人/ HARUKA(サイバージャパンダンサーズ)

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