コロナ禍で本数が倍に? 値上げでもたばこを吸う女性たちの主張
2018年から段階的に行われてきた、たばこ税の増税。この影響でたばこの小売価格が年々上昇し、時代の変化も相まって喫煙者は減りつつある。喫煙者は人口の3割しかいないと言われている中で、特に女性喫煙者の割合は男性と比べて半数以下だ。
【前回記事】⇒たばこ値上げでもめげない喫煙者たち。もはや意地と根性で「吸い続ける」
今回の値上げに際し筆者が行った取材では、9割の喫煙男性が「値上げでもやめない」と回答。女性喫煙者も同様の結果だったが、喫煙する理由には男性との違いが現れていた。
「たばこを吸う女性は印象が悪い」とも評される現代社会で、彼女たちがたばこをやめない理由は何なのか。取材に答えてくれた喫煙者の元キャバ嬢は、たばこがきっかけで「マッチングアプリで得をした」と語る。
女性の喫煙者率こそ減っているものの、実はコロナ禍で「女性喫煙者の喫煙量」は増えている。
エーテンラボ株式会社が2021年5月に行ったアンケート調査によると、コロナ禍で喫煙量が増えた女性は約4割にものぼった。年代別に見ると、30代以降のすべての世代の25%以上が、コロナ前と比べてたばこの本数が増えたと回答している。その最も多い理由が、「孤独感や不安感、ストレスのため」だ。
実際にチェーンスモーカーである筆者自身も、コロナ禍のストレスで喫煙量が増えた。30代の筆者は喫煙歴10年。紙巻たばこは2年前にやめ、現在はIQOSを愛用している。コロナ以前の消費量は1日1箱半程度だった。
ところがコロナ禍で本数が1日2箱以上に増量。原因は一人暮らしの自粛生活による孤独感と、在宅勤務ならではの理由だ。取材がオンラインメインになり、自宅にこもりきりで外出する機会が激減した結果、「吸わない・吸えない時間」が無くなってしまったのだ。
月のたばこ代は2万円を超え、経済的な危機を感じていたところに値上がりのニュース。せめて以前の消費量に戻そうと、“減煙”にチャレンジしている。
禁煙しない理由は、「たばこを吸っている自分が好きだから」に尽きる。喫煙者であることがアイデンティティになってしまっているため、妊娠でもしない限りはやめないだろうと諦めモードだ。
もちろん「喫煙者=カッコイイ」のイメージは昭和の産物で、令和の価値観にはそぐわないと理解している。しかし、筆者と同じ理由で喫煙を続けている人は身近にもいた。
大阪・心斎橋でBARを営むカオルさん(仮名・30代女性)は、「たばこを吸っている自分に1ミリも酔ったことがないなんて、ありえないでしょう(笑)」と語る。
「たばこが好きだし、絵的にも好きなので、値上げでやめる気はないですね。でも値上げ関係なく、最近になって紙巻からIQOSに変えました。吸いすぎと老いのせいか、嗚咽が出るようになってしまって……」
紙巻を吸っていた時は、1日2箱消費していたというカオルさん。BAR勤務で吸いやすい環境にいるため、何も気にせずヘビースモークしていたそうだ。
「IQOSに変えたおかげか、体調の問題は無くなりました。1500円を超えたら減煙を考えるけど、やめはしないですね」
カオルさんの店で働く喫煙者のスタッフも、禁煙は考えていないという。
「今回の値上げでやめようとは考えてなかったです。自分が禁煙する時は、金額じゃなくて別の理由な気がします」(30代女性スタッフ)
女性喫煙者の場合、結婚や妊娠が「やめるキッカケ」となりやすい。元ラウンジ嬢のミナさん(仮名・30代)は、プロポーズされたのを機に禁煙に励んだという。
コロナ禍の孤独とストレスで喫煙本数が倍に
やめない理由は「たばこを吸っている自分が好き」
福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院修了。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。X(旧Twitter):@0ElectricSheep0、Instagram:@0ElectricSheep0
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