日本の「食」、日本の「農業」を下支えする金融商品[コメeワラント]の魅力とは!?
―[[コメeワラント]の魅力とは!?]―
コメの先物価格を対象とした日本初の金融商品「コメeワラント」が3月26日に発売され、大きな話題となっている。一般投資家に馴染みの薄かったコメ先物市場に、1000円程度という少額から追証なしでレバレッジ投資できるeワラントで、誰もが手軽に参入できるようになったからだ。「コメeワラント」の何がスゴイのか? その秘められた可能性とは? 東京穀物商品取引所営業広報部長の白坂美治氏とeワラント証券マーケティング部長の小野田慎氏に聞いた。
◆72年ぶりのコメ先物取引の再開!
かつてはその家の財産を表し、現在も年間生産量約840万トンという国内最大の穀物であるコメ。なぜ今、コメを対象としたeワラントが作られたのか。それにはまず、コメ先物市場そのものを知っておく必要がある。
コメ先物は、オプション、スワップなどいわゆる「金融工学」によって開発されたデリバティブ(金融派生商品)の元祖である。徳川吉宗の時代に大坂・堂島で始められたコメ先物取引こそ世界初のデリバティブなのだ。現在、テクニカル(チャート)分析でよく使われるローソク足も、コメ先物で使われたのが最初といわれている。だが戦時下の1939年に米穀取引所が閉鎖された後、長らくコメの先物市場は日本にはなかった。
「戦後の日本は、コメ価格安定のため、食管法など政府主導の生産調整が基本政策でした。しかし現在では、コメの生産・流通は自由化されており価格は市場で決定する政策に変わっています。そのため、価格変動リスクを回避する場として先物取引が必要になったわけです。先物では半年先の価格も提示されるので、その価格を参考に作付や販売計画が立てられますし、実際に先物で現物受渡しを行えば、コメの販路・仕入れ先として、また、収穫前に収入を確定できるなど、生産者や流通業者にとってメリットが大きいのです。こうした時代の変化に国もようやく重い腰を上げた、といったところでしょうか」(東京穀物商品取引所営業広報部長白坂氏)
昨年7月、農林水産省は2年間の試験上場を認可し、1939年以来72年ぶりのコメ先物取引の再開となった。デリバティブ発祥の地・日本に、その元祖が戻ってきたのだ。
「東日本大震災による放射性物質の影響も心配されましたが、価格が高騰したのは取引開始直後だけ。しばらくすると現物価格を背景として、1万4000円台に落ち着きました。これは、生産者、流通業者などの先物参加が徐々に増えたことで、市場が安定してきたことを意味しています」(同)
(2)に続く⇒ https://nikkan-spa.jp/179237
18世紀日本が生んだ先物 21世紀金融工学技術で取引する
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