「よりよい性生活のためには『硬さ』が大切」と考える男女が多数
※写真はイメージです。以下同(Photo by Adobe Stock)
東邦大学医学部が行った『よりよい性生活に関する意識調査』(男性版=2005年9月、女性版=2007年3月)というWebによる調査報告がある。調査対象は首都圏在住の男性1000人、同様の女性5665人。15~20年近く前のデータだが、
性機能研究者の間では権威あるデータとして引用されることが多い。
それによると
「陰茎の形状に求める機能的側面」として「より硬くなる」と回答したのは男性が54.9%、女性が40.7%といずれも首位を占めた。2位以下は男性が「より太くなる」(27.7%)、「より大きくなる」(10.0%)、「より長くなる」(7.4%)の順。
「硬さ」は「大きさ」のほぼダブルスコアを獲得している。
女性の2位以下は「より大きくなる」(24.2%)、「より太くなる」(17.9%)、「より長くなる」(17.2%)で、太さや長さよりも大きさへの関心が高いことを示した。
男女ともに望ましい状態として挙げる「硬さ」の実現を阻む理由の一つに、ED(勃起不全)がある。多くの男性にとって、避けられぬEDと「硬さ」とはどのような関係にあるのか、調査結果を踏まえて考えてみよう。
EDはうまく勃起できないことを表す「Erectile Dysfunction」の略称である。一般社団法人日本性機能学会では「
性交時に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起が持続できないため、満足な性交が行えない状態」と定めている。要するに立たない状態だ。立たないために性交が続けられず、したがってフィニッシュもできない。
男性の大半はおおむね思春期までに勃起を経験する。ごく大づかみに言うと、勃起は陰茎の海綿体に流れ込んだ大量の動脈血が、海綿体洞という小さな空洞を満たし、海綿体を膨らませることによって起こる。風船が膨らむのと同じ原理だ。
しかし、ただ血液が流れ込むだけでは陰茎は硬くならない。膣に無理なく挿入できるほどの硬さを保つためには、一旦流れ込んだ血液を戻さない状態にするメカニズムが必要だ。やや専門的になるが、陰茎の海綿体が膨らむと、その周りを包んでいる「白膜」という組織が引き伸ばされ、海綿体洞から出ていく静脈を強く圧迫する。
その結果、血液の流出が抑えられる。海綿体から戻ろうとする血流が止まる一方で、動脈からはさらに多くの血液が入ってくる。こうして海綿体内部の圧力が高まり、挿入するのに十分な硬さになる。勃起の完成だ。
ジャーナリスト。元新聞記者、雑誌編集者。新聞、雑誌、Webなど、さまざまな媒体に携わりながら、一貫して取材、執筆、編集業務に従事。日本性機能学会、日本メディカルライター協会会員
記事一覧へ