更新日:2022年05月19日 20:04
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ロンブー田村淳「テレビがネットに抜かれている現状」に悔しさ。業界の“再考”案とは

遺書を書くことで見えてくる「自分」

ロンドンブーツ1号2号の田村淳が今年新設された「Rethinkアワード」で「人」部門を授賞し、授賞式に出席した。
田村 淳

田村 淳(ロンドンブーツ1号2号)

Rethinkアワードの「Rethink」とは再考という意味。目まぐるしく変化し多様化する社会において、今までの当たり前を当たり前と考えずに、視点を変えて物事を考える文化の浸透を目指すーーという理念に基づき創設された同賞において、テレビタレント・芸人という枠組みに捉われず、大学院に学び、オンラインサロンの設立や、起業するなど、「様々な視点でものごとを考える先駆者であること」が選定理由となった。 昨年8月に他界した母から、二十数年前から誕生日ごとに「延命治療をしないでね」ということを聞かされていたという田村は、「母ちゃんの尊厳。生きているうちに何を考え、発信しているかが重要だということを深く考えさせられ、“遺書”というものについて研究したいと思った」と、47歳にして慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を修了。 「自分でも試しに遺書を書いてみたんですが、最初は自分の娘のために書いていたつもりが、気づけば自分に向けて書いていた」という田村は、大学院での同級生や教授と学び合ううちに、「これまで自殺、怖い、といったイメージのあった遺書は、自分、大切、未来について考えるツールになり得る。周りの反応や他人と比較することではなく、自分を持つことは遺書を書くことで見えてくる」と確信したことが、遺書動画サービスの「イタコト」を始める動機になったことを語った。

ネットに広告が抜かれている現状に悔しさ

今回、授賞したことについて「芸能界という伝統的な世界において、大学院に行ったり、ビジュアル系バンドをやったりする僕の活動について『芸人のくせに何やりたいんだよ』と言ってくる先輩もいますけど、愚問中の愚問をしてくるなと。自分がやりたいことに対して忠実なだけ。もともと固定観念にとらわれないように、という意識はありますが、今回の賞をいただいて、その気持ちがいっそう強まりました」と率直な思いを吐露。 その一方、既存のテレビ番組制作の現場について“Rethink”できることは? という記者の質問に対して「テレビもラジオもマスメディア大好き人間だったので、ネットに広告が抜かれているという現状にすごく悔しさを感じている。テレビ視聴率の取り方や、広告、スポンサーの獲得の仕方などで、まだまだ変えられる部分があると思うし、その過渡期の中で、僕の力が役立てられれば、役に立って生きたい」と、“本業”への意気込みについても熱意をたぎらせていた。 同アワードの企業部門では、株式会社ヘラルボニーが授賞。代表の松田崇弥氏は「“かわいそうバイアス”がかかっている知的障害者に、社会貢献ではなく、経済的価値、対価が生まれる仕組みを、アートを通じて見出して生きたい」とコメント。自治体部門は、震災後のまちづくりにおいて、障害のある人、子供、高齢者まで、みんなが住みやすい暮らしやすい街を作る取り組みを進め、岩手県初の「SDGs未来都市に」選ばれた、陸前高田市が授賞した。 取材・文/日刊SPA!取材班
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