更新日:2022年08月04日 10:35
スポーツ

日韓戦に快勝も「チケットが売れない現実」。E-1選手権を開催する意味とは

日本代表、4大会ぶり2回目の優勝

サッカー日本代表

国内組のみで優勝するも、興行面では失敗か

 日本代表、韓国代表、中国代表、香港代表で争われたEAFF E-1選手権2022決勝大会は、国内組のみのメンバーで臨んだ日本代表が4大会ぶり2回目の優勝を果たして幕を閉じた。全勝での優勝こそ達成できなかったが3試合で2勝1分け、9得点無失点という内容で、十分に及第点に値する結果だった。  また、4か月後に「FIFAワールドカップ カタール2022」が開催されるということで、本大会に向けた新戦力発掘も期待されており、谷口彰悟、山根視来など最終予選でもメンバー入りしていた選手に加え、東京五輪でも活躍した相馬勇紀が違いを見せてくれた。さらに、宣言どおり3得点を挙げ大会得点王になった町野修斗、トランジションの速さとインテンシティの高さを見せた藤田譲瑠チマなど本大会に向けて期待できる新戦力も現れた。森保一監督もこういった結果に満足しているようで、大会後の会見で前向きなコメントを残している。 「ワールドカップのメンバーとして候補に入る選手は、何人かいたと思います。ただ、メンバーに選ぶかどうかについては、これからまた視察を重ねて、そしてこれまでの活動とワールドカップに向けてというところなどの選手の情報をさらに集めて決めていきたいと思ってます。  これはメンバー選考と話は違いますけど、この大会はできれば全勝優勝したかったんですけど、それでもまず優勝することができたというなかで、私自身はすべての選手を使って優勝できるだろうと思っていました。全員の選手を先発で使うことはできませんでしたが、出場時間に差があるにしても、このE-1という国際経験のなかで、選手たちが勝利を目指しながら国際経験を積んで成長するっていうところで結果を掴み取りながらチャレンジしていきたいなと思ってたところでは、まずみんながアピールする時間があってよかったなと思います」

ワールドカップ直前に開催する意味は?

 今大会における試合の結果や内容のみを批評するならば良いこと尽くめに感じるが、ワールドカップでベスト8以上を目指す日本代表にとっては喜ばしいとは言い難い。  まず、選手個々のレベルアップという観点においては、ベストメンバーではない東アジア諸国の代表チームと対戦するより、同時期に来日していた世界的スーパースターをそろえるパリ・サンジェルマンと対戦したほうが得るものが大きかったのではないだろうか。ドイツ代表やスペイン代表といったトップクラスのチームと対戦することになった本大会のことを考慮すれば、同等あるいはそれ以上の選手らと戦える貴重な機会がパリ・サンジェルマン戦だったように感じる。実際にプレーのクオリティ、スピードなどを比較すると、シーズン前のパリ・サンジェルマンのほうが圧倒的に上だった。選手個人がレベルアップするきっかけとしては、よりレベルの高いほうとやるほうが良い。  それでも日本代表として、ひとつのチームとして活動することでコンビネーションを高め、チーム力を向上させるという考え方もある。しかし、今回のメンバーは国内組のみでほとんどの選手が本大会ではメンバー入りしないことを踏まえると、コンビネーションを高めても無意味に終わる。  そもそも、E-1はFIFAが指定する国際Aマッチウィークでの開催が難しい。そういったなかで大会の意義を見出すとすれば、国際経験の少ない次世代選手の育成を目的とすることだ。また、目的を次世代選手の育成とするならば、わざわざワールドカップ本大会の直前に開催すべきではない。
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代表戦なのに観客数が1万人以下…
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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