ポルシェやコルベットetc. 高級車の燃費を計測してみた【後編】
―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―
かつて、クルマの話題の中心は馬力や最高速度でしたが、昨今クルマの話題になると、何はともあれ燃費ということになるのは、仕方がないことであります。そこで今回は、ポルシェやコルベットなど、普段は燃費を気にしないだろうクルマたちの実燃費計測を、年に1回の輸入車大試乗会の場を借りてやってみました!
MJブロンディ=文 Text by Shmizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
⇒【前編】はこちら
一番手は、557馬力を誇るモンスター、CLS63AMGです。アクセルを床まで踏み込むと「ドルルルル!!」という爆音を発し、フェラーリすら追い詰める実力の持ち主ですが、今回はフツーに走ってみました。
すると燃費はリッター8.5km。うーむ、なかなかいいな。
こんな高級車など見たことも触ったこともないド庶民のみなさんは、ド迫力のエクステリアを見ただけで、「リッター2kmくらい?」と思うかもしれませんが、現代のテクノロジーは、ド庶民の想像をはるかに超えております。
【メルセデス・ベンツ CLS63AMG】
1645万円~/557馬力/リッター8.5km
ポルシェ911カレラ4GTSはリッター8.8km。ポルシェは高速道路の巡航なら、たいていリッター10km以上走ります。プリウスでリッター20km出して「やったー!」とか思ってるド庶民の皆様にはお気の毒ですが、金持ちも意外と節約できてしまっているのです。これでは貧富の差がますます開きますね。
【ポルシェ 911カレラ4 GTS】
1607万円~/408馬力/リッター8.8km
では、日本のド庶民の皆様が大好きなハイブリッドはどうか。ただし、モノは1000万円オーバーのカイエンハイブリッド。こんな値段でガソリン代ケチったって、まったく意味はございません。
結果はリッター9.1km。AMGや911と大差ありませんでした。やっぱカイエンは重すぎます。ケチケチしてハイブリッド買うなんざ大損です。V8ターボ(500馬力)でガツンと行っても、たぶんリッター7kmくらい走るでしょうし。
【ポルシェ カイエンSハイブリッド】
1102万円~/333馬力/リッター9.1km
ランボルギーニは燃費計がついておらず計測不能。コルベットZR1もダメだべな……と思ったら、なんとついてました! これには驚いた。
【ランボルギーニ ガヤルドLP550-2トリコローレ】
2364万9360円~/550馬力/計測不能
なにせこのマシン、6.2リッターV8にターボをかませ、647馬力を絞り出しておるのでございます。あのニュルブルクリンクで日産GT―Rのタイムを破った、現在市販車として世界一速いと認められているスーパースポーツカーなのですよ。そのクルマに燃費計がついてるのか。スゲエな……。
で、この647馬力を、宝の持ち腐れ的に「ボボボボボ~」とノンビリ走らせたところ、出た燃費はリッター4.5km! さすが世界最速のOHV車。ポルシェの半分くらいっきゃ走りませんでした。
ちなみにこのコルベットZR1、最高速は掛け値なしの時速330kmとなっております。
【コルベット ZR1クーペ】1490万円~/647馬力/リッター4.5km
【結論】
平均燃費リッター12kmのクルマで、年間8000km走ると、年間ガソリン代は10万円程度。それが2倍、3倍になったところで、カネ持ちには屁でもありません。なのに現代の超高性能車は、意外と燃費もいいのです。悔しいですね。1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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