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9万人以上を診察した眼科医が「ソフトコンタクトレンズしか処方しない理由」

 レンズの硬い「ハードタイプ」と柔らかい「ソフトタイプ」が存在するコンタクトレンズ。以前は付け心地があまりよくないものの、目に必要な酸素を角膜に届けやすく、汚れが付きにくいハードコンタクトレンズのほうが感染症のリスクが少なくて安全だと言われていた。  だが、4~5年ほど前からソフトコンタクトレンズの性能が格段にアップ。「昔のソフトは、酸素透過性があまりよくないHEMA(ヘマ)という素材を使っていましたが、現在はシリコーンハイドロゲルが主流です。これはハードの素材よりも酸素透過性が優れていますし、汚れも付きにくいんですよ」と語るのはおよそ16年間で9万人以上の患者を診察してきた眼科医の梶原一人氏。

1Dayタイプのソフトコンタクトレンズしか処方していない

コンタクトレンズ  ソフトコンタクトレンズといっても、1日使い捨ての「1Day」、2週間ごとに交換する「2Week」、1か月ごとに交換する「1Month」が存在する。後者ほどコスパはいいが、梶原先生のクリニックでは、「1Dayタイプのソフトコンタクトレンズしか処方していません」という。 「安全性を第一に考えるなら、ソフトの1Dayを正しく使うのが最もリスクが低いです。2Weekや1Monthを使用している方で、毎日レンズの洗浄・消毒を行い、定期的にレンズを交換していても油断は禁物。レンズケースのお手入れや交換を怠っている方が多く、運が悪ければケースの汚れがレンズに付着し、目の病気になってしまうかもしれません」

感染スピードがとにかく速くて恐ろしい緑膿菌

 特に怖いのは細菌やアメーバ、カビによる感染症だ。細菌の中でも「緑膿菌に感染すると、短時間で重症化する可能性が高い」と警鐘を鳴らす。 「緑膿菌は、水まわりなどの生活環境中に広く常在する細菌なのですが、感染スピードがとにかく速い。どんどん増殖して角膜を削って溶かしてしまうので、治療が遅れてしまうと失明してしまうケースもあります。  アメーバやカビも、有効な薬がなくて感染するとやっかいです。清潔にしているつもりでも、これらのリスクは避けられないので、1Dayを正しく使うのがオススメです。確かにコスパは悪いかもしれませんが、洗浄液やレンズケースを定期的に買い換える必要があることを考えると、ちょっとお金を出すだけで1Dayに手が届くと思いますよ」
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ソフトと比べるとハードのほうが利益率は高いため…
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