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「国民年金」と「自分で資産運用」は最終的にどちらが“お得”なのか? 金融のプロが試算した結果

 厚生労働省が公開したデータによると、’23年に生まれた子どもの数は過去最低の72.7万人を記録。’24年は、70万人を割り込む公算が大きいという。少子高齢化に歯止めがかからない中で、年金制度に不安を感じて新NISAなどの投資を始めた人も少なくないだろう。果たして、年金と資産運用はどちらが得なのか。資産運用の専門家である鳥海翔氏に解説をしてもらった。

年金と自分で資産運用はどちらがお得?

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写真はイメージ(以下同)

 鳥海氏はYouTubeチャンネル「鳥海翔の騙されない金融学」で、資産運用や保険、社会保障制度など、お金に関する解説を行っているマネーのプロ。ほかにも家計改善・資産運用のコンサルティングも手掛けている。鳥海氏には、全員共通の国民年金で試算をしてもらった。 「国民年金は、1か月にだいたい1万7000円ぐらい収めています。’24年時点だと、20~60歳までの40年間で毎月1万7000円を収めることになるので、合計で800万円くらい払うことになります。  年金は、65歳から毎月6万8000円支給されます。1年で受け取れる金額はだいたい80万円ぐらいになるので、10年間で収めた金額と同じ800万円になる。75歳以上まで生きることができれば、以降は毎月6万8000円がプラスになる計算です」

ポイントは93歳まで生きられるかどうか

 では、毎月1万7000円を資産運用に回すと、どれくらいの利益を得られるのか? 「年金と同額の月1万7000円を、全世界株式などで運用したとします。40年間積立投資して、年利3%、4%、5%で回ったとすると、それぞれ下記の金額になります」 年利3%:800万円 → 1500万円 年利4%:800万円 → 2000万円 年利5%:800万円 → 2500万円  年金と比較するために、上記の金額から毎月6万8000円を支払い続けると、どれくらい持つのか試算すると……。 「65歳のときに上記の金額を受け取り、年金の支給額と同額の6万8000円を切り崩しながら同じ年利で運用したとしましょう。そうすると、手堅い年利3%でも、27年間は運用できる計算になります。つまり、93歳のときに積み立ててきたお金が0円になる。  一方で、国民年金は生きている間はずっともらえます。持病などで93歳までに亡くなる可能性が高いなら、自分で運用したほうがお得ですが、健康に自信があって93歳以上まで生きられるのであれば、国民年金のほうがお得になると言えます。寿命などを考えると、年金は2.5~3%ぐらいで運用できているのではないでしょうか」
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健康に自信があっても年金だけでは不安
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