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『相棒』新シーズンが期待はずれ…亀山の復帰で話題も、拭えない“古臭さ”

亀山薫が復帰した『相棒21』

相棒

『相棒』公式Twitterより

 14年ぶりに亀山薫(寺脇康文)が復帰したドラマ『相棒21』(テレビ朝日)が、10月12日にスタートしました。放送前日には亀山卒業のエピソード『相棒7 レベル4〜薫最後の事件』が再放送されるなど、いやがおうにも期待は高まっていました。  そして当日。かつて相棒ウォッチャーだった筆者も、およそ10年ぶりにリアルタイム視聴。それだけ亀山薫は特別な存在なのですね。  もう一度杉下右京(水谷豊)との軽妙な掛け合いを楽しめる。8割は肩の力を抜きつつ、2割は重たいテーマで考える、あのちょうどいい『相棒』が帰ってくるものと信じて疑わなかったのです。

中途半端な再会シーンから肩透かしの連続

 ところが、観続けることおよそ30分。いつまで経っても面白くなりません。  右京と薫の再会シーンからして不発でした。薫が援助活動をしていたサルウィン共和国(架空の国家)との親善パーティー会場で出会うのですが、これがオチのないコントのようだったのです。右京を見つけた薫が物陰に隠れていたずらっぽく呼びかける演出には肩透かしをくらいました。14年ぶりの感慨もなければ、あえてクールに流すのでもない。ただただ中途半端でした。  また脚本に疑問を感じるファンも多かったようです。パーティーの出席者の一人で、腐敗政権を倒した活動家のアイシャ(サヘル・ローズ)。彼女を殺さなければ旅客機を爆破するとのメールが出席者のスマホに送信される脅迫事件が発生し、事態が動き出します。  その旅客機に薫の妻・美和子(鈴木砂羽)が搭乗していたため、薫がアイシャの死もやむなしとのセリフを発したのです。自分の妻が関わっているとはいえ、いささかあっさりとアイシャの死を選択した薫の姿勢も、正義感の強いキャラクターからは想像できないとの声もあがりました。  その後アイシャは自殺してしまうのですが、そこでも要人に警護や監視をつけていない設定がおかしいとのツッコミが多数聞かれました。  もちろん、翌週の展開次第で感想も変わってくるでしょうから、ひとまず楽しみに待ちたいと思います。
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拭えない「古臭さ」
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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