ミャンマーから無事帰国、久保田さんがみた景色「拘束前、銃を持った男たちが」
ミャンマーで安当局によって拘束・収監されたドキュメンタリー作家の久保田徹さん(26)が17日解放され、18日朝、羽田空港に到着した。
久保田さんは、ミャンマーの最大都市ヤンゴンで30日夜、国軍の支配に抗議するデモの様子を撮影していたとして、当局に拘束された。その後、禁錮計10年の有罪判決を言い渡されて、首都・ヤンゴン市内の刑務所に約3ヶ月間収監されていた。
空港内には30人以上の友人らが駆けつけ、久保田氏への応援メッセージや花束を手渡した。応援メッセージには120超のコメントが届き、なかには久保田氏の中高時代の教師からも届いていた。
中心になってメッセージを集めた友人で作家の今野誠二郎(25)さんは、「海外からもSNS経由で、英語のメッセージが届きました。彼は何も悪いことはしていない。どうどうとしていてほしい」とした上で、「徹(とおる)の元気そうな顔を見れて、安心した」と打ち明けた。
健康状態に異常はなく、日本時間で午前5時47分、久保田さんを乗せた飛行機が羽田空港に到着した。
空港内で開かれた会見で久保田さんは、「10年、刑務所にいることを覚悟していました」と打ち明けた。
刑務所内での生活については「独房で主に過ごしており、外に出る際は囚人服を着せられていた」と話し、政治犯として重罪の扱いを受けていたという。3つの罪状のうち、電子通信に関する違反が最も重かったと久保田さん。また、食事を与えないや殴るなどの暴力行為はなかったと話す。
軍事独裁政権が続くミャンマーで見た光景はどのようなものだったか。
久保田氏は「(自由を獲得のために)何十年も戦ってきた人たちが多くいた。(その罪で捕まっている人も多く、)多くの人たちが悔しさを抱えている」とした上で、「ミャンマーで生きなければいけない人びとがいる。僕の多くの(ミャンマーの)友人は国外へ亡命した。言いたいことも言えないことから、彼らが抱える“生きる”はとても目に見えにくいのが現状」と、涙ぐみながら答えた。
久保田さんは約15分の会見で、記者らの質問に答えたあと、横浜市内にある実家へ向かった。
10年、刑務所にいる覚悟だった
軍事独裁政権のミャンマーで見た光景
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