更新日:2022年12月03日 10:56
スポーツ

三笘からのゴールは「神様の後押し」か。日本代表に漂う“日韓大会の雰囲気”

日本代表が見せた奇跡。勝因は?

 心地よい興奮が続き、ふわふわと浮ついている。なんだか夢の中にいるようだ。だが、日本代表がスペイン代表に勝利したのは、紛れもない現実なのである。現在カタールで開催されているFIFAワールドカップ2022で、1日にグループステージ最終戦の日本代表vsスペイン戦が行われた。圧倒的にボールを支配されるなかで、日本は逆転に成功して2-1で勝利。強豪のドイツ、スペインと同組になったグループEを首位で通過し、決勝トーナメント進出を勝ち取った。
堂安律

同点ゴールを決めた堂安律(右)。未来永劫語り継がれる場面だろう

 戦前から予想はしていたものの、巧者スペインにボールを支配される展開となった。しかも、試合が始まって間もない前半11分には、右サイドからのクロスをアルバロ・モラタに頭で決められて先制された。ボールの奪いどころすら見つけられないような状態だったが、時折は最終ラインへのプレッシングでボールを奪い相手ゴールへ迫る場面をつくった。前半を終えた時点でスペインのボール支配率は78パーセント。シュート数は日本がゴール枠外に2本でスペインが5本といったように、日本はなす術もないような状態で前半を終えた。  後半開始時には交代で堂安律と三笘薫を投入すると、日本は積極的な守備から良い形をつくる。後半3分、左サイドからハイプレスを仕掛けて、右サイドで伊東純也がボールを奪う。そのボールを受けた堂安が得意な形をつくり、中央へ切り込んで左足からミドルシュートを放った。強烈な弾道は相手GKウナイ・シモンが触るも勢いは止められず、そのままゴールネットに突き刺さり同点とした。

後半6分でたちまち2点

 さらに、その3分後となる後半6分には、伊東から堂安へとボールをつないで最終ラインとGKの間へ鋭い低弾道のクロスを入れた。そのボールに前田大然がファーサイドから飛び込むも、わずかに届かなかった。しかし、その外側から三笘が足を伸ばして、ゴール前へ折り返す。そのボールを田中碧が押し込み、逆転ゴールを挙げた。三笘の折り返し前にボールがピッチ外へ出ていたことが疑われ、長い時間をかけてVARによるチェックが行われたが、ミリ単位でボールがラインにかかっていることが確認されてゴールが認められた。  1点をリードした日本は、残り40分近くを守備に追われることになる。最終ラインに5人、ミドルラインに4人を並べて日本は守備を固めてゴールを守る。永遠とも思われるほどにひりついた時間が続く。さらには、同時刻で開催されていた一方のコスタリカ代表vsドイツ代表の試合は目まぐるしくスコアが動く展開で、もしも日本が追いつかれたら突破が危うくなるかもしれないという状況をつくり出していた。しかし、精神をすり減らしながらも集中を切らさず戦い、2-1のまま試合終了のホイッスルを聞くことができた。  終わってみれば、日本は2勝1敗の勝ち点6でグループEを首位に立ち、自らの力でグループステージ突破を決めた。もう一方の試合も終わり、スペインが1勝1分1敗の勝ち点4、ドイツも1勝1分1敗の勝ち点4で並んだが得失点差で上回ったスペインが2位で決勝トーナメント進出を決め、ドイツが3位、コスタリカは1勝2敗の勝ち点3で最下位になった。
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VAR判定の2点目は神様の後押し
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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