タンクレス・トイレのベストバイ。パナソニック「アラウーノ」がTOTO、INAXよりもおすすめの理由
今、住宅系のYouTube界隈を騒がせている男がいる。動画チャンネル『ジュータクギャング』の押村知也だ。設計から建築、インテリアコーディネイトに至るまで住宅に関するすべてをこなす住宅のスペシャリスト「住空間クリエイター」である。歯に衣着せぬ彼の発言は、わかりやすくて痛快。『ジュータクギャング』は、更新のたびに一般視聴者の心をつかみまくっている。そんな押村だが、もちろんトイレにも一家言ある。人生にとって欠くべからざる重要な空間だが、最近はリフォームで入れ替える家も多い。「トイレが豊かになれば、生活も潤う」という押村が選んだトイレとは?
「戸建ての場合、僕が選んでほしいトイレは、1階と2階で異なります。メインの1階はタンクレス・トイレ。いわゆる後ろ側に水を溜めるタンクがないトイレです。タンクがないので省スペース、かつデザインも美しい。最大の魅力はオート便座機能です。人が近づいたら便座が開くという装置ですね。タンクレスにするなら、必ずオート便座にしてほしい。一方、2階はタンク式がおすすめ。というのも、1階のタンクレスは電気で水を流す仕組みになっているので、停電が起きたときに水が流すのに手間がかかります。これを補うために、2階にはタンク式トイレを入れておきたい」
昨今はタンクレスが増え、相当の数が発売されている。いったいどれにすればいいのか。
「INAX、TOTO、パナソニックがトイレの三大メーカーです。僕は、パナソニックの深澤直人さんがデザインした『アラウーノ』が一番好きです。ほか二社とは異なって陶器ではなく有機ガラス系の素材を使っているので汚れがつきにくいうえに、座り心地が素晴らしい。トイレとしての総合点が高いです。2位はTOTOの『ネオレスト』、3位がINAXの『サティス』。ネオレストは……というか、TOTO全体がそうですが、ウォシュレットの性能がいい。サティスはデザイン面が優れていますね」
トイレも小さな部屋である以上、気をつけるべきは便座や便器だけではない。筆頭は収納だろう。
「『適材適納』は設計の基本。例えば、キッチンで使うものはすべてキッチンに収納すべきだし、トイレットペーパーや掃除道具などトイレに関するものはトイレに収納すべきです。トイレットペーパーが切れたときに一度、外へ出るなんてありえない。もっといえば便座に座ったまま、手が届く場所にあってほしい。吊戸棚にして、上のほうに収納を設置してしまうと、立ち上がって交換する必要があるので不便です」
ちなみにタンクレスの場合、タンクから出る水で手を洗うことができないため、別に手洗い場を作るスペースを取ることになる。
1階と2階では選ぶべきトイレの種類が違う
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(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた』
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『美しい家のつくりかた』 1000軒の家を建ててわかったこと |
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