靴はネットや紳士服屋で買ってはいけない。靴屋で買うべき理由
こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
靴は靴屋で買うというのはひと昔前の話で、筆者も所有している靴のうち、数足はネットで購入しました。ネットでしか買えないというやむにやまれぬ事情もあり、致し方ありません。しかしながら、靴は可能な限り、店舗で買いましょう。筆者のもとには、「ネットで購入した靴が足に合わない」という相談が後を絶たないからです。
ZOZOマットなど、足の計測アプリの開発も進んでいますが、そもそも、靴と計測した数値には、致命的な隙間があります。それは、「静」と「動」です。ZOZOマットに限らず、百貨店や靴屋でシューフィッターや店員が足のサイズを測るとき、当然足はじっと止まっています。しかし、実際には「歩く」「止まる」「ダッシュする」など「動」があり、靴と足のフィットにとっては重要なのは「動」なのです。この差が埋まらない以上、計測した数値をもとにネットで買う場合、それはやはり賭けにしかならず、実店舗でその場でパッと試して歩くという効率のよさには敵わないのです。
少しマニアックな話になりますが、足は片足28個の骨と100以上の靭帯・筋肉、数えきれない数の神経からできています。それぞれが、それぞれに動きます。左右で動き方もちがいますし、動作によっても、時間帯によっても異なり……と考えていくと、計測上の「静」の数値では収まらないことは容易に想像できます。
また、同じブランドで同じサイズでも「合う」「合わない」ということがあります。実は靴にも個体差があり、既成靴とはいっても、作られる工程で「人の手」が加わっています。もちろん大半は専用のマシーンで仕上げていくのですが、そのマシーンを操るのは人の手です。令和の靴工場でも、ジブリ作品のように飛行船や飛行機のエンジンのご機嫌をとるシーンと同様のことが起きているのです。同じサイズの靴でも色違いによって、合う合わないといったことがあり、それは個体差、靴の世界はまだまだアナログなのです。
ネットとリアルでは埋まらない数値とは?
個体差という現実も
1
2
こまつ(本名・佐藤靖青〈さとうせいしょう〉)。イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『シューフィッターこまつ 足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます。「毎日靴ブログ@こまつ」
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ